特集

ファイバーレーザ溶接によるプロセスイノベーション

ファイバーレーザ溶接の導入で、モノづくりの発想が変わる

厨房・機械カバーなどステンレス・アルミ製品の溶接にFLWが活躍 ― 研究開発向け製品の引合いも増加

細谷精機 株式会社

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画像:おしぼり収納器のアルミ製容器(板厚1.0㎜)。側板の突き合わせ、底板の全周、四隅をFLWで溶接しているおしぼり収納器のアルミ製容器(板厚1.0㎜)。側板の突き合わせ、底板の全周、四隅をFLWで溶接している

精密板金事業と電子事業の2 本柱

1947年創業の細谷精機(株)は、東京都内でカメラなどの光学機器部品の金属加工業者としてスタートした。1971年に横浜工場を新設し、精密板金業界に参入。1988年に電子事業部を設立して以来、精密板金事業と電子事業の2本柱で成長してきた。

電子事業では、放送・通信産業向けに映像配信・通信の品質を左右するコネクタとフィルタを製造・販売してきた。2011年の地上デジタル放送への切り替えのタイミングでは、CATV関連を中心に、かつてないほどの好業績だった。コネクタは現在、同軸ケーブルをはじめとするアナログ製品向けが中心だったこともあり、デジタル化が進んでからは落ち込みが進んでいる。フィルタは、デジタル化に対応した製品開発を進めており、仕事量は減少しているものの、研究開発型の事業ならではの高い利益率を誇っている。

現在の主力は精密板金事業。一時期はコネクタとフィルタを合わせた電子事業部が売上全体の50%超を占めていたが、今では40%以下まで減少した。一方、精密板金事業は好調で、今は20~21時までの残業と休出で対応している状況。売上の60~70%を占めている。

2013年10月に6代目社長に就任した阿部詞男(のりお)社長は、低迷が続くコネクタの生産部門を見直し、スタッフの配置転換を行うなどして、精密板金事業へ軸足をシフト。こうした組織改革も業績アップに貢献している。

画像:代表取締役社長の阿部詞男氏代表取締役社長の阿部詞男氏

「精密板金の駆け込み寺」

精密板金事業の得意先は100社以上。情報通信機器と放送機器の筐体・構成部品が計50~60%を占め、現在は太陽熱温水システムの熱交換器や厨房板金も好調。そのほか、工作機械カバー、アミューズメント機器、鉄道車両の内装など様々な分野の仕事を手がける。量産品の中心ロット帯は50~100個。これに加えて、家庭用燃料電池や複写機などのメーカーの研究開発部門から、ロット1~3個の試作品も受注する。

阿部社長は「引合いをいただいた仕事は、基本的に断りません。メーカーだけでなく、近隣の同業他社からも多くの仕事を受注します。横浜地域には様々な分野の仕事がある反面、工場スペースに制約があるため、自然と中小サプライヤー同士が得意分野の仕事を融通しあう環境ができて います。当社にとっても同業他社はライバルではなく、パートナーであり、お客さまでもあります」と語る。

来るものは拒まない阿部社長の姿勢が功を奏し、同社は横浜地域における「精密板金の駆け込み寺」としての地位を確立。薄板板金の仕事量が減少する中にあっても、他社では対応できない仕事が次々に舞い込んでいる。

画像:FLWによるアルミ製容器のファイバーレーザ溶接FLWによるアルミ製容器のファイバーレーザ溶接

つづきは本誌2014年8月号でご購読下さい。

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