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“厨房”の分野で3つの事業を並行展開

仕事量・社員・設備のすべてを増やし、機械化率80%を目指す

株式会社 ハイサーブウエノ

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画像:出荷を待つドライシンク(W600×D600×H800mm)出荷を待つドライシンク(W600×D600×H800mm)

厨房設計で大手飲食チェーン8 社と直接取引

厨房機器メーカーとはWin-Win連携

今年で創業45周年を迎える㈱ハイサーブウエノは、業務用厨房機器の製造をメインの事業として展開している。特徴的なのは、(1)業務用厨房の設計・施工・メンテナンス(外食事業者との取引)、(2)厨房板金設計・製造・販売(厨房機器メーカーとの取引)、(3)厨房機器のOEM生産(厨房機器メーカーなどとの取引)――という3つの事業を並行展開している点だ。

同社は創業以来培ってきた厨房設計のノウハウを活かし、東証一部上場の大手飲食チェーン8社を含む外食事業者と直接取引、顧客ニーズを踏まえた業務用厨房の設計から、厨房機器の選定・調達、据付・施工、メンテナンス・修理まで一括して受注している。そのため厨房機器メーカーからみた同社は、厨房機器の発注権まで事業者から委任されている”顧客”であると同時に、シンク・テーブル・キャビネットといった機器や部材を供給する”調達先”でもある。

外食産業の競争が厳しくなる中で業務用厨房の業界も受注価格が低下し、(1)の事業の物件利益は目減りする傾向にあるが、受発注関係にある厨房機器メーカーとWin-Win連携を築き、(2)(3)の事業――厨房板金製造の仕事を安定的に受注できることが、自社工場の安定稼働につながっている。

画像:代表取締役会長の小越憲泰氏(右)と代表取締役社長の小越元晴氏(左)代表取締役会長の小越憲泰氏(右)と代表取締役社長の小越元晴氏(左)

厨房設計と厨房板金の2 本柱で着実に成長

同社を創業した小おこし越憲泰会長は、生家がサッシ用戸車を製造する町工場だったこともあって「いずれは自分も工場を構えたいという望みがあった」(小越会長)という。

高校時代、東京・江戸川区の上野製作所を訪ねたとき「こさまを当社に招き、その場で確認しながら図んな商売があるんだな」と魅力に感じた。上野製作所は厨房機器メーカーで、当時の社長は日本厨房工業会の常任理事も務めていた。小越会長は長岡市内の工業短期大学を卒業後、上野製作所に入社。3年弱勤めたのち、独立して郷里で新たに工場を立ち上げた。

小越会長は「同僚2人が私についてきてくれることになりました。上野製作所の社長も快く送り出してくれ、資金がない私たちに加工機械まで貸与してくれました。資本関係はありませんでしたが、暖簾貸しのようなかたちで私たちの社名も『上野製作所』にし、カタログも共通のものを使わせてもらいました。こうした支えと、創業当初の同僚2人の高い技能が、今の当社の礎になっています」と振り返る。

1級厨房設備施工技能士と1級厨房設備士、2級建築士の資格をもつ小越会長は、工場に入る暇もなく、厨房設計と納品・据付に奔走。創業当初から厨房設計と厨房板金の2本柱で事業を展開していった。

1991年に現在地へ移転したとき、恩義ある上野製作所と、そのブランド名「ハイサーブ」(ハイクオリティサービスにちなんだ造語)を合わせて、社名を「ハイサーブウエノ」に変更した。

「業務用厨房全体のうち、板金製品の割合は金額ベースで10~20%程度。残りは調理機器や冷蔵庫といった厨房機器メーカーからの調達品がほとんどです。この比率は今も概ね変わりません。当社は厨房機器・部材を製造してはいるものの、事業者から業務用厨房一式を任され、設計から据付・施工、メンテナンスまで対応する業態だったので、製造業よりもサービス面を強調したいと考えました」(小越会長)。

今では、江戸川区内の上野製作所の2階にハイサーブウエノの東京営業所を構え、12人のスタッフが常駐し、首都圏に本社を置く大手飲食チェーンをターゲットに、業務用厨房システムの設計・提案を展開している。設計のみならず、厨房機器の適切な評価とニーズに合った機種の選定、立地条件を踏まえた業態開発や、ときにはメニュー開発まで踏み込むことで顧客の信頼を獲得し、全社の総売上の70%強を支えている。

画像:厨房機器業界では珍しく、ベンディングロボットシステムASTROⅡ-100NTを導入。OEM製品のように長期的な生産計画に従って生産する製品や、チェーン店向けのある程度規格化された製品は、できるだけASTROで加工する厨房機器業界では珍しく、ベンディングロボットシステムASTROⅡ-100NTを導入。OEM製品のように長期的な生産計画に従って生産する製品や、チェーン店向けのある程度規格化された製品は、できるだけASTROで加工する

つづきは本誌2014年6月号でご購読下さい。

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