板金論壇

短期10年、中期30年、長期100年のスパンで経営を考える

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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100年企業は2万6,144社

取材でお伺いした食品加工機械の総合メーカーが、今年で創業118周年を迎えられた。1896年(明治29年)創業で、現在は4代目社長が経営されている。本社内にある歴史館には創業当時の明治から、大正、昭和と時代を重ねる中で企業を発展させてきた証である製品やエポックの写真などが展示され、見学していても大変興味深い。

また、親しくしていただいている板金企業は、今年70周年を迎えられる。社外に対しては大きな記念事業は行わないものの、100年企業に向けた会社のビジョンを明確にし、4代目社長へのソフトランディングに向けた体制づくりと、社員やその家族を招いたイベントは行いたいという。

昨年9月、帝国データバンクは創業100年以上の「長寿企業」(個人・各種法人含む)を集計し、業種別・規模別・創業時期別・都道府県別に分析した「長寿企業の実態調査(2013年)」を発表した。それによると、100年以上の「長寿企業」は2万6,144社。業種別に見ると、最も多かったのは「清酒製造」の707社で、2位は「貸事務所業」の613社、3位は「酒小売」(596社)と続くほか、「呉服・服地小売」「婦人・子供服小売」など消費財関連の小売業が目立つ。

規模別に見ると、「従業員10人未満」が1万6,287社で62.3%、「年商10億円未満」が2万1,431社で82.0%と、比較的小規模な企業が多い。明治時代以降(1868年以降)の創業は2万3,384社で89.4%を占め、江戸開府前(1602年以前)の創業は141社だった。都道府県別の「長寿企業輩出率」を見ると、「京都府」の3.96%が最高。以下、「山形県」(3.72%)、「島根県」(3.60%)、「新潟県」(3.58%)がこれに続いている。

世界一の長寿企業「金剛組(こんごうぐみ)」は1430年以上の歴史を持つ

この調査は帝国データバンクに登録されている144万社の企業概要ファイルに基づくもので、経済産業省の「工業統計調査」による日本の企業420万社の1/3をカバーしているだけなので、実数はさらに増える。別の資料によると、日本には200年以上続く企業が少なくとも3,113社(営利企業のみ)あることがわかっている。これは2位のドイツを大きく引き離し、圧倒的な世界第1位。なんと世界中の200年企業の43%が日本に集中している。そして、世界一の長寿企業が、大阪にある「金剛組」。同社は聖徳太子の命を受け、西暦578年に百済(くだら)の国から招かれた3人の宮大工のひとり、金剛重光によって創業され、以来1430年以上の歴史を持っている。長年の取材活動でアジア諸国を回るフリーランサーで、拓殖大学教授の野村進氏は、日本に老舗が多い理由について以下の3点を示している。

(1)過酷な内戦や侵略がなかったこと

(2)継続を美徳とする価値観があること

(3)ものづくりを尊ぶ伝統があること

――いずれも、なるほど、と頷ける。

米国のフォーチュン誌がまとめた『フォーチュン500』に紹介される企業の年齢は30年、40年。その意味では企業の平均寿命は50年などともいわれており、環境変化が激しい時代に100年企業、200年企業に多くの日本企業が入っているということは驚異といわざるを得ない。世界一の長寿企業「 金剛組(こんごうぐみ)」は1430年以上の歴史を持つ

つづきは本誌2014年6月号でご購読下さい。

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