拡大する医療市場に貢献する板金
医療機器関連の売上比率が25%―画像診断装置の仕事が増加
最新加工設備の導入、工法置換などでモノづくり体制を合理化
大永工業 株式会社
画像診断装置のユニット部。SECCの板厚1.2、1.6㎜を使用
会社再建で企業体質が強靭に
同社は1958年、伊藤俊夫氏によってプレス加工業を主体とした製造業として個人創業。1964年に法人化し、1972年には大永工業(株)として株式改組した。
創業当初より長野県内の無線通信機器メーカーから仕事を受注、電子機器や無線通信機器関連のシャシーや部品加工、電光掲示板関連の仕事を手がけてきた。ピーク時には売上のほとんどが電子機器・情報通信機器関連の仕事で占められるまでになった。
しかし、バブル崩壊の影響で受注量が激減、会社の経営が傾いた。そのような厳しい状況下で、1999年に村田和夫社長(当時は専務)が経営を引き継ぎ3代目社長となった。村田社長は、最新加工設備の導入、モノづくり体制のデジタル化・合理化、営業活動などを意欲的に行い、会社経営に奮闘。3年目(2002年)には会社を黒字化させ、新工場の建設を実現するなど、企業体質を強靭なものにしてきた。
会社の建て直し後も、設備投資の手を緩めることなく、パンチ・レーザ複合マシン、NTベンダー、3次元CADなどを相次いで導入、設備力強化を図っていった。2011年には本社工場から車で5分ほど、しなの鉄道のテクノさかき駅にほど近い場所に工場を借り、ブランク加工に特化した「テクノ工場」を開設した。
昨年10月ごろからは、画像診断装置などの医療機器関連の板金加工の仕事が増大、現在では売上比率の25%を占めるまでになり、繁忙が続いている。
代表取締役の村田和夫氏
2013年秋口以降、医療機器関連の仕事が増加
同社の売上比率は、電子機器・無線通信機器関連が40%、医療機器関連が25%、その他が35%。
主力は電子機器・無線通信機器関連の仕事で、主にディスプレイ用シャシーや電光掲示板などを製作している。しかし、受注量の変動が激しく、またリーマンショックの影響もあり、現在は売上比率の40%程度まで減少している。
村田社長は、以前から1つの業種に仕事が集中することを懸念していた。そのため、同社の強みである優れたQ,C,D対応や、設計上流からのVA/VE提案力を武器に、営業活動に力を注ぎ、中でも医療機器分野に注目してきた。医療機器市場は、高齢化問題を抱える日本や欧州に、人口増加にくわえ所得水準が向上している新興国と、世界的 に需要拡大が見込める成長市場とされている。
同社は、画像診断装置を中心に医療機器関連の仕事を7年ほど前から手がけており、昨年10月ごろからは仕事量が増大、現在は売上全体の25%を占めるまでになっている。医療機器関連の得意先は数社で、画像診断装置、医療器具用の洗浄装置、眼科関連の3つを手がける。
パンチ・レーザ複合マシンEML-3610NTは、自動倉庫MARS(10段7列)と連携(テクノ工場)
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