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時代の先端を行く受注品目

会社再生13年、地域発展の希望が託される

東里工業(とうりこうぎょう) 株式会社

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画像:3次元ソリッド板金CAD SheetWorksで作成した制御盤の3次元モデル(右)と製品(左)3次元ソリッド板金CAD SheetWorksで作成した制御盤の3次元モデル(右)と製品(左)

見事な再生劇

東北新幹線一関駅より車で30分。北上川を渡り、猊鼻渓(げいびけい)を右手に見ながら走ると、小高い丘の3,000坪の土地に建つ工場の玄関に立った。あたり一面には春めいて力強さを帯びてきた太陽の光が注いでいた。

代表取締役の髙橋政智社長に話を聞いた。

「2001年8月の創業で、13年目になります。当社の前身は首都圏にあった大手板金企業の岩手工場でしたが、バブル崩壊の影響を受け、1999年に会社が倒産しました。当時の東山町(2005年に一関市との町村合併により現在は一関市)当局は地元経済や雇用への影響を考え、当時工場長をしていた私に『雇用と地域経済を守るため、商権を活かしてみんなの力で再建したいという意志があれば町が応援したい。競売にかかる工場を落札し、みなさんに貸したい』と言われました。社員にこの話を伝えると『工場再建に力を注ぎたい』という社員の手が次々に挙がりました。しかし、すぐに社員全員が新会社で働けるわけではなく、当初は私を含めた6名で会社を再建することになりました。残れなかった社員は、それまでの得意先などにお願いして再就職先を斡旋してもらい、再建が軌道に乗れば復職するという約束で全員に納得してもらいました」。

2001年、競売で落札した工場敷地と建物、そして債権者の差し押さえを免れたパンチングマシン1台とベンディングマシンとシャーリングマシン、それに溶接機で、仕事を再開できることになった。会社がある東山町の「東」、里前の「里」をとって「東里(とうり)工業」と名づけた。社員たちの再生への戦いが始まった。

画像:代表取締役の髙橋政智氏代表取締役の髙橋政智氏

時代のトレンドを取り込む

それからは事業再生を支援してくれる行政、同社の技術を認めてくれる得意先や機械メーカーの支援を受けることができ、新会社として事業をスタートした。当初は板金加工ではなく、プレス加工されたパチスロ部品をスポット溶接で組み立てる仕事で基礎をつくった。2004年頃までには元の社員も復職し、新たにパンチングマシンやレーザマシンを導入、プレス・板金・スポット溶接・アセンブリーの技術を活かして、仕事を取り込んでいった。

受注する仕事は多種多様。手がける製品は、スーパーの鮮魚や惣菜のコーナーで重量を計ってパッケージする計量・包装機器や配膳車、食堂などの券売機、鉄道車両関連、ホームドア、アミューズメント関連機器、除雪機など多岐にわたる。

ステンレスやアルミなど鉄道車両に使われるさまざまな部材を製作する得意先には、同社から設計者を送り込むように要請されている。鉄道車両関連の部材は板厚0.4mmのアルミ材で表面・裏面の2枚の板を製作し、その間にペーパー製のハニカムコア材を接着構造で入れ込んでアセンブリーする。この接着技術が同社独自のノウハウで、同社に対する発注量が増えている。ホームドア関係では、ヘアライン加工したステンレス製品の溶接・仕上げ品質が高く評価され、同社への発注につながっている。

画像:ベンディングマシンHD-1303NTによる曲げ加工ベンディングマシンHD-1303NTによる曲げ加工

つづきは本誌2014年4月号でご購読下さい。

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