特集

日本に学び躍進する台湾板金業界

3次元モデルを使ったVPSSへの取り組みで差別化

10月には新工場が竣工、生産能力を向上

迎盛 股份有限公司 (YING-SHENG CO., LTD.)

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画像:本社事務所には、玄関の天井に吊り下げられた大型モニターに稼働サポートシステム vFactoryのバーチャルファクトリー画面を表示。稼働状況の“見える化”を図っている本社事務所には、玄関の天井に吊り下げられた大型モニターに稼働サポートシステム vFactoryのバーチャルファクトリー画面を表示。稼働状況の“見える化”を図っている

創業当時は機械カバー、今は電子機器向けの仕事が半分

同社は1989年に創立された板金加工企業。「高品質な加工」「革新的な技術」「オンタイム納品」「スピーディーなサービス」の4つの目標を掲げ、顧客満足度の向上に取り組んできた。

創業当初は台南地区に集積していた射出成形機メーカーから成形機のカバーの仕事を受注、一時期は売上の70%を占めるまでになっていた。その後、台南市・高雄市周辺の工作機械――旋盤・マシニングセンタの機械カバーや配電盤・操作盤の仕事などを受注してきた。

そして2001年頃から「台南サイエンスパーク」(台南科技工業園区)に進出した電子機器や半導体製造装置、真創業当時は機械カバー、今は電子機器向けの仕事が半分空装置関連の企業から電子機器や半導体製造装置関連のシャシー・ボックス・カバー・ケースなどの仕事も受注するようになった。同パークで操業する真空装置、半導体・FPD製造装置、太陽光パネル製造装置を製造する日系大手企業の仕事も含まれている。

画像:曽麗芳総経理曽麗芳総経理

景気変動に対するため、業種・得意先を分散

景気変動による受注の急激な落ち込みを防ぐため、業種・得意先を拡大してリスク分散を図るという経営方針の結果、現在の得意先の数は40社超。業種別の売上比率も、電子機器や半導体製造装置関連が50%、旋盤・マシニングセンタなどの工作機械カバーが25%、配電盤・操作盤が15%、射出成形機カバーが10%となっている。
同社のWebサイトには「当社では『ヒトづくり』と『高品質なモノづくり』でお客さまの満足度を向上するという経営理念を掲げており、社員教育とチームワーク醸成の相乗効果、最先端の設備導入により、最高の製品とサービスを提供することに努力しています」と紹介されている。

曽麗芳総経理は「さいわい当社の売上は創業以来、大きく落ち込むこともなく、業績を伸ばすことができました。合理化の一環として3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを2セット導入、上流の設計・プログラムから工期短縮を目指しました。すでに設計部門には3次元CAD SolidWorksを複数セット導入、2次元の電子データで受注した製品データを3次元化することで得意先へのVA/VE提案に活用しています。製造現場の可視化――”見える化”に対応して、ポカミスをなくし、プログラム工程で正しい製品の加工データを作成するところから工程の整流化に努めてきました」。

「生産設備は、アマダ台湾から提案された最新のレーザマシン、工程統合マシン、ネットワーク対応型のベンディングマシンを導入して、稼働率と加工精度の向上を実現してきました。それでも”オンタイム納品”を厳守するためには、残業が避けられませんでした。そこで、SheetWorksを導入して上流工程をさらに合理化することで、残業をなくしても、これまで以上の仕事量をこなすことができる生産体制の構築を目指しました。そのため社員に対しては、残業代に匹敵するインセンティブを提示し、目標達成の励みとなるようにしました。その結果、ほぼ目標達成を実現することができました。優れた設備と道具だけでなく、社員に明確な目標とインセンティブを提示すれば社員も目標達成に努力するし、新しい設備を使いこなしていきます。『ヒトづくり』を行うことで、高品質なモノづくりを実現できてきました」と、同社が掲げてきた経営理念と成果を語ってくれた。

画像:工程統合マシンLC- 2012 C1NTによるステンレス材の加工工程統合マシンLC- 2012 C1NTによるステンレス材の加工

つづきは本誌2014年3月号でご購読下さい。

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