特集

日本に学び躍進する台湾板金業界

高級工業職業学校の同窓生4人が結束して26歳で創業

新工場に工業博物館「台湾金属創意館」をオープン

志鋼金属 股份有限公司 (CHIH KANG Material Company Ltd.)

LINEで送る
Pocket

画像:志鋼金属股份有限公司の第2工場志鋼金属股份有限公司の第2工場

想いの強さ― 「志(こころざし)」を感じる

私たちの中ではすっかり色褪せてしまった「想い=志」の大切さを改めて強く印象づけてくれた企業が志鋼金属股?有限公司(CHIH KANG Material Company Ltd.)。

社名に「志」の文字を入れるほどに強い創業者たちの想い――エネルギーに、日本人が忘れてしまったモノづくりへの強いロマンを感じた取材となった。

同社は1995年9月に創業され、今年で19年目を迎える。創業メンバーは6人だが、そのうち4人――董事長の洪啓川さん、総経理の郭治華さんらは、いずれも国立台南高級工業職業学校の板金科を卒業した同窓生。卒業後はそれぞれ異なる板金工場に就職したが、郭総経理だけは、在学中に政府主催の技能コンクールに手板金加工の製品で応募し、それが金賞を受賞、副賞の奨学金で大学へ進学し、工学全般と技術を習得した。卒業後は2年間の兵役を務め、24歳で民間企業に就職。ほかのメンバーも兵役で一時的に仕事を離れるが、除隊後は再び元の板金工場で勤務していた。

26歳になった1995年に4人のメンバーが再会、それぞれの近況や想いを語る中で、自分たちで板金加工企業を起業する計画が持ち上がった。しかし、創業には資金が必要だ。そこで、2人の先輩にも声をかけ、同年9月に6人の共同出資で現在の会社を創業した。200坪の貸工場にパンチングマシンPEGA-357、ベンディングマシンRG-100、Mシャーなど1,000万元(3,500万円、1NT$=3.5円換算)の板金設備をアマダ台湾が提携した銀行ローンで導入。創業メンバーを含め、10人での開業だった。

それが19年目の現在では、社員数は25倍の250人、本社工場、第2工場は自社工場。工場規模は創業当時の25倍。売上の詳細は公表していないが約25倍になった模様。

画像:洪啓川董事長(右)と郭治華総経理(左)洪啓川董事長(右)と郭治華総経理(左)

創業5年で900坪の工場へ移転

創業から5年経った2000年に現在の本社工場(900坪)を、2年後には隣接地300坪を購入して工場を増設、本社工場は1,200坪の規模に拡張された。その後400坪の倉庫を建設して事業を拡大していった。2011年には車で10分ほどの工業団地内、3,000坪の敷地に第2工場を竣工した。現在は精密板金加工を中心に機械加工・溶接・塗装・組立までを一貫して行い、情報通信機器・医療機器などのOEM事業を立ち上げるまでに成長している。

同社のWebサイトには「発展し続けるハイテク産業において、当社ではお客さまからのあらゆるニーズにお応えできるよう、品質向上と製造工程の効率化などに精進しています。精密板金加工を行い、通信・医療・半導体・PC・機械・インテリアなどの業界に部材と筐体製品を提供いたします。弊社は小ロットの製品からも対応が可能です。優れたコストパフォーマンスと技術で、お客さまのビジネスをサポートしています。弊社は加工技術・納期・価格などすべての面でお客さまのニーズに対応できる力を持ち、モノづくりに関わる様々なサービスを提供します。世界中に拠点を置くグローバル企業の高いレベルでの連携に対応して、各マーケットのニーズにきめ細かく対応することを目指します」と書かれており、現在は海外企業との取引が売上高の20%を占め、その割合は年々高まっており、最終的には売上高の半分を海外企業からの売上にすることを目標としている。

画像:工程統合マシンLC- 2012 C1NT(パーツリムーバー付き)工程統合マシンLC- 2012 C1NT(パーツリムーバー付き)

つづきは本誌2014年3月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

タグ

  • タグはまだ登録されていません。

関連記事

  • 関連記事はありません。

特集記事一覧はこちらから