〜Sheetmetal world〜

世界同時不況−金融津波から立ち上がる中国
世界1,100社が参加したCIMT2009開催




東4ホールの日本館に出展したアマダカッティング東4ホールの日本館に出展したアマダカッティング
世界最大の工作機械需要国
中国機床工具工業協会(会長・呉伯林氏 China Machine ToolBuilders Association:CMTBA)が主催する世界4大国際工作機械見本市の1つである第11回中国国際工作機械見本市(ChinaInternational Machine Tool Show:CIMT2009)が北京国際展示場を会場に、4月6日から11日まで開催された。
中国では、製造業の中でCNC工作機械に対する開発要求の高い16産業分野(16大プロジェクト)を選び、その中からさらにプライオリティーの高い産業用途に対応するハイグレードなCNC工作機械を開発するため、工作機械産業の育成・強化に力を入れている。特に、中国政府はマザーマシンと呼ばれる工作機械産業の発展は経済成長には欠かすことのできない事業と位置付け、国産工作機械の発展・躍進のために様々な援助を行っている。中国国内での工作機械需要はここ数年連続して高水準で、世界ナンバー1の工作機械市場となっている。
米国のMETAL WORKING INSIDE REPORTによると2008年の世界の工作機械生産総額は8兆1,000億円。生産額トップの日本が1兆5,846億円、2位がドイツの1兆 5,656億円、3位が中国の1兆3,965億円となっており、中国は前年比28%増となった。その一方で、国内生産から輸出額を差し引き、輸入額を加えた工作機械の国内消費金額は1兆9,365億円と前年を20%上回り、順調な設備投資が続いていることを示している。昨年9月のリーマンショック以降、欧米や日本、韓国、台湾などで工作機械への設備投資が収縮する中で、中国では一時的な低迷は見られたものの内需振興のインフラ整備に関連して設備投資が復活する傾向が見られる。
今回のCIMTには国内の有力な工作機械メーカーはもとより日本、ドイツ、スイス、イタリア、台湾、韓国など海外からも優れた工作機械、周辺機器、工具などが多数出展されており、出展企業は1,100社となった。また、各国の工作機械工業会との友好親善を進めるために20カ国以上の工作機械工業会がブースを出展していた。
釣魚台迎賓館で行われたアマダ主催の国際金属加工技術フォーラム開会式で挨拶するアマダ岡本満夫社長釣魚台迎賓館で行われたアマダ主催の国際金属加工技術フォーラム開会式で挨拶するアマダ岡本満夫社長
アセンブリー型の中国の工作機械産業
今回のCIMTは世界同時不況下で唯一回復の兆しがある中国で開催されただけに、目の前の引合い・商談に対応するビジネス重視の展示となっている。
世界第3位の工作機械生産国で、日本を抜き世界ナンバー1になるのも時間の問題と見られている中国は、大半は欧州や日本製の軸受、ボールネジ、リニアガイド、エンコーダー、主軸モーターなどの各種エレメント、NC装置、レーザ発振器などを輸入し、それらを組み立てて工作機械を完成させるアセンブリー型の産業となっており、工作機械産業としての裾野は狭い。中国製の工作機械や周辺機器、工具類も数多く出展されていたが、欧州メーカーとの提携商品が多く、自国で開発・製造されたエレメント類の出展は少なかった。出展メーカーの中には、工作機械をモジュール構造にして、ユ−ザーの要求仕様に応じ、軸受ならばSKFやNSKなどの海外製と国産をユーザーが選択できるようにしているところも見られた。...

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