〜特集「第21回優秀板金製品技能フェア金賞受賞作品」〜

食の安全・安心にマッチした簡易清浄型格子マグネット装置が日刊工業新聞社賞・金賞を受賞
若い社員が頑張るアセンブリー・コーディネート企業

木村電子工業(株)



「機械的結合を主体とする組立品の部」に出展された作品「機械的結合を主体とする組立品の部」に出展された作品
日々の製作物の中から出展
精密板金フェア、表彰式の総評で日刊工業新聞社千野社長が「製品に近い展示品の中の部品で、機械で製作したような正確で美しい仕上がり。マグネット部の引き出し部分も大変スムーズ」と評価された出展品、実は日常的に発注元から受けている製品に少し手を加えたもので、フェア用に製作された出品物ではない。
表彰式後の交流会で挨拶に立った下ノ村社長は「多摩地区のたま工業交流展に出したものをそのまま出展しました。今回は中の棒が3本になっていますが、6〜7本付いているものもあります。形状は大きいものから小型のものまで、用途によって各種あります。今回の出展品をつくったのも平均年齢35歳以下の若い社員たちです。それまでは、60歳くらいの職人技の社員が多かったのですが、団塊の世代の大量退社で若返りました。しかし、それぞれの技能はしっかりと受け継がれ、技能伝承がうまくできたと思っています」と述べた。

表彰式から日を置かずに訪問すると、下ノ村勇社長と第一製造部部長横田雅紀さん、曲げ担当の第一製造部係長飯島久志さん、溶接を担当した田中正幸さんと根本 司さんが待っていてくださり、さっそく完成までの苦労話を聞くことができた。
下ノ村社長「同製品は、昭和記念公園で開催された、たま工業交流展に何か出品したいと考え、そこで、ずっと手がけていたマグネット装置を出展しました。その製品を見て、アマ栄誉に輝くダスクールの同フェアにも出さないか、とアマダの営業マンからお誘いを受け、交流展に出したものをそのまま出展しました。粉体の中から混入した異物を取り出す装置です。分りやすく言えば、お茶やふりかけなどの製造工程で、設備の金属片が混入することが稀にあり、その異物をマグネットに吸着させ、取り出す装置です。製品の取手様のものを引っ張りますと、除鉄リングという特殊構造物が異物を簡単に除去する仕組みになっています」。
同社は立川市にある除鉄リング(今回出展したのはマグネット・フィルター「格子マグネット装置」・加工時間23時間、材質SUS304、板厚2.0o、寸法W260×D174×H246o)の特許を持つトック・エンジニアリング鰍ノ資本出資し、製造委託契約を結び製造している。日々製作するものは、類似品を受注。同社から構想図が来て、木村電子工業にて製作図を作成し、板金設備を駆使して作成される。
下ノ村 勇取締役社長下ノ村 勇取締役社長
みんなで考え、理想のカタチに仕上げた
横田部長「社長から話があり、主要工程のメンバーに集まってもらい説明しました。特に食の安全・安心が希求される昨今、お客さまに安全な食べ物を提供するメーカーのご要望は清潔板金であるとともに、1個の異物の回収モレもあってはなりません。機能・性能もさることながら、さらに見映えも重視しました」。...

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