〜特集「クリーンエネルギーと板金市場
爆発的な成長が見込まれるクリーンエネルギー市場」〜

工場設備にも省エネ製品の波
ヒートポンプ・IH・燃料電池など新技術が続々と実用化




東芝キヤリアと東京電力が共同開発した「蒸気レス空調システム」の室外機「スーパーフレッ クスモジュールチラー」東芝キヤリアと東京電力が共同開発した「蒸気レス空調システム」の室外機「スーパーフレッ クスモジュールチラー」
東京電力の「電化ファクトリー構想」
 産業分野における省エネの取り組みとして、東京電力が提案する「電化ファクトリー構想」がある。
 この構想は、産業分野における「電気を活用したプロセスイノベーション」(東京電力)。環境問題やエネルギー問題をきっかけに産業分野での過大なエネルギー消費を見直す動きが高まる中、蒸気や熱風といった化石燃料に由来する従来型の生産工程に、IH(電磁誘導加熱)やヒートポンプといった技術を取り入れ、最適な範囲で電化を推進することで、1.生産品質の向上、2.生産効率の向上、3.省エネ、4.コストダウン、5.環境負荷軽減−などに貢献するというもの。2007年11月にはこの構想の要素技術を展示するデモンストレーション施設「TEPCO電化ファクトリーI2(アイ・スクエア)」(横浜市)をオープンし、2008年12月末までに関東圏を中心とするメーカーの生産技術や環境部門の担当者、経営者など、約300組、約2,000人が訪れた。
 この構想の中で、同社は製品開発や技術提供を行う一方、コーディネーターまたはコンサルタントとしての役割を担っている。産業分野のニーズを汲み上げ、装置メーカーとのマッチングを行い、新製品開発や普及を促進する。取り扱っている具体的な製品としては、自動車部品などの塗装乾燥工程にIHを利用する「IH塗装乾燥装置」、ヒートポンプを利用した「蒸気レス空調システム」、割安な夜間の電気を利用して冷水や温水を蓄熱槽に蓄え、日中に使用する「蓄熱式空調システム」、また、夜間の電気を蓄え、昼間のピーク負荷に応じた放電を行うことで電力使用の平準化を図るとともに、瞬時電圧低下補償機能や非常用電源機能を付加することも可能な「NAS電池システム」がある。

燃料電池の種類と設置規模(「ENEX 2009」東京ガス 展示パネルより燃料電池の種類と設置規模(「ENEX 2009」東京ガス 展示パネルより
ヒートポンプを利用した業務・産業設備が高評価
 ヒートポンプを利用した空調設備や夜間電気を利用した電池・蓄熱槽は、すでに各地のショッピングモールや産業施設に導入実績があり、省エネ効果の面で高い評価を受けている。IHを利用した産業設備は、蒸気ボイラーやガス熱風炉などの従来の設備に取って代わるには出力や処理能力の面で課題が多い。しかし、設備のコンパクト化、オン・オフの操作性、エネルギー効率の高さといった特長を生かし、従来設備と棲み分けながら徐々に普及が進んでいくものと見られる。また、...

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