〜特集「クリーンエネルギーと板金市場
爆発的な成長が見込まれるクリーンエネルギー市場」〜

小型風力発電機の高性能ブレードを板金で製作
産官学連携が開発のきっかけ

菊川工業(株)



2007年12月に導入したレーザマシンLC-2415αWNT2007年12月に導入したレーザマシンLC-2415αWNT
クリーンエネルギーと板金市場
 国内の大手・中堅ゼネコン各社と取引を持つ同社は、建築用金属製内装・外装製品の製造が主力。営業が発注元であるゼネコンから一括で受注、建築設計図から内装・外装パネルやドア枠などの建築金物部分を抽出して社内で板金設計し承認図を作成した後、設計事務所・ゼネコンの承認を得て、バラシ、展開を行い生産に取り掛かる。使用する材料はステンレスとアルミがほぼ半々、鋼板の製品もあるがほとんどが補強材で、チタンやブロンズの加工も請け負う。物件対応の受注による都度設計のため、過去の製品データを丸ごと再使用できるケースはほとんどない。ほぼ100%が新規受注品である。
 売上のうち輸出の占める割合は50%を超える。世界同時不況下にあって国内の建設業界の仕事量が落ち込む中、同社の国内受注も激減しているが、海外の大手情報端末機器メーカーの系列販売店の店舗向け内外装パネルの仕事をコンスタントに受注し続けており、向こう2年分の受注残を抱えている。同業他社と比較しても受注の落ち込み幅は小さい。
 建築用内装・外装の一括受注・設計・製造に留まらず、これまでにも非常階段やサンシャドウ(デザインパンチング)、エンボスパネルといったデザイン性の高い自社製品を積極的に開発してきた同社が、新事業として考えているのが小型風力発電をはじめとする環境関連事業。
 川上十伍常務取締役と、風力発電事業を統括している市場開発室の阿部稔室長に話を聞いた。

川上十伍常務取締役川上十伍常務取締役
「すみだ産学官連携クラブ」が開発のきっかけ
 同社は1933年に東京都墨田区菊川町で創業し、1951年に法人化。1970年に千葉県白井市の白井工業団地に生産機能のすべてを移管してからも、発祥の地である墨田区に本 社を残し、新事業開拓の立脚地として活用している。
 「小型風力発電への取り組みは2005年から。当社の宇津野和俊会長が墨田区と区の中小企業、早稲田大学による『すみだ産学官連携クラブ』の会長を務めており、同クラブの活動の一環で、環境・エネルギー関連のモノづくり―風力発電や太陽光発電、熱発電(太陽の熱を使って発電するもの)による電力を公園の街路灯および非常用電源などに利用しよ うという計画に取り組むことになったのが始まりでした」と阿部室長は当時を振り返って語る。...

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