〜Technical View〜

半自動アーク溶接
手棒溶接と比較して圧倒的に高能率




半自動アーク溶接半自動アーク溶接
 半自動アーク溶接は電気の放電現象を利用し、同じ金属同士をつなぎ合わせる溶接工法である。半自動アーク溶接では溶接材料としてワイヤ、アークのシールド材としてアルゴンや炭酸ガスなどを用いる。ワイヤもガスも連続的に長時間供給できるので、手棒溶接と比較してその能率は圧倒的に高い。

半自動アーク溶接の流れ

溶接は「溶接ガン」とも呼ばれる溶接トーチで行う。溶接対象物は溶接が行われる加工物、母材はアースで溶接機の電極につながっている。このアース線は大電流が流れるため、太いケーブルが使われる。溶接機は電力を供給する装置で、数10kWの出力がある。また送給装置、ガスなどのコントロールを行う。送給装置は、溶接ワイヤをトーチに送り込む装置である。ワイヤの送給速度は溶接機により緻密に制御される。溶接ワイヤは糸巻き状に巻かれており、供給装置により引き出され、ホースを経由してトーチに送り込まれる。トーチにはボンベから送られてくるシールドガスが供給される。シールドガスは、実際には溶接機を経由し、溶接ワイヤと同じホースの中を通り、トーチに供給される。溶接材は直径1mm前後の母材と同じ金属を主成分とした溶接ワイヤ。ワイヤはコイル状に巻かれており、送給装置によりコンジットチューブを介してトーチに送られる。トーチでは溶接電源から送られてきた電気がコンタクトチップを介してワイヤに供給される。溶接ワイヤは電極と溶加材を兼ねていて、ワイヤの先端からはコンタクトチップから送られてきた電流により、アークが形成される。トーチからは、ワイヤと同様に溶接機から供給されるシールドガスが噴射され、アークを大気から保護すると同時にアークそのものともなる。シールドガスはアルゴンや炭酸ガスがよく用いられる。シールドガスはホースを介しトーチに供給される。ガスはオリフィス(流量計)により圧力を調整され、ノズルより放出される。放出されたガスは...


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