「日の丸原子炉」や周辺技術への期待が高まる
2050年までに最大1,400基の原子力発電プラントが必要になる可能性




日本の原子力発電所(2009 年1月現在)日本の原子力発電所(2009 年1月現在)
「原子力ルネサンス」
 グローバル・グリーンニューディールが叫ばれ、クリーンエネルギーへの期待が高まる中で、ここしばらく凍結されてきた原子力発電に対する見直し ? 「原子力ルネサンス」 ? が始まっている。
 その先駆けとなっているのが中国。2008年に原子力発電プラント10基の建設を発表したのに続き、2020年までに4,000億元の資金を投じて30基以上の原子力発電プラントを建設する計画があることが分かった。今後のエネルギー需要の増大を見込み、現在の原子力発電設備容量700万kWを、2020年までに4,000万kWに拡充する。
 原子力発電を推進するもうひとつの大国がアメリカ。原発事故などを理由に新規建設を長年凍結してきたが、高まるエネルギー需要・経済性・環境対策・化石燃料の減少などの理由からブッシュ大統領が大きく舵を切り、オバマ大統領が掲げるグリーンニューディール政策も追い風となって、現在では30基前後の建設を予定している。
 ロシア、インド、南アフリカ、ヨーロッパ、アジア各国でも計画が増加し、2030年までに200基が必要とされると言われる。1基あたりの建設費は3,000億円以上にのぼるとされ、市場は60兆円規模となる。問題は安全で質の高い原子炉、発電プラントをつくれる企業が少ないこと。そこで注目されているのが、国策として原子力発電を推進してきた日本メーカーとその技術力である。

日本は総電力の約1/3が原子力発電
 日本は総電力の約1/3を原子力発電によって供給しており、原子力発電を除くと日本のエネルギー自給率はわずか4%しかない。この自給率を高めるために、世界で唯一の被爆国として核廃絶を世界に訴える一方で、国策として原子力発電の開発・製造に取り組んできた。現在では、日本の重電・重機械メーカーである東芝、日立製作所、三菱重工業の3社がメーカーとして原子力事業に取り組んでいる。
 現役の商業用原子力発電所としては最古参の関西電力美浜1号機が運転を開始したのは1970年。現在、日本には53基の原子力発電プラントがある。開発当初は...

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