〜特集:digital-bankin.com「不況・難局の時こそデジタル化を考える好機」〜

デジタル宣言6年目、お客さまから安心・信頼されるサプライヤーに変身
板金加工の『市場創造』を目指す




吉見昌弘社長吉見昌弘社長
インタビューに対応する
吉見昌高専務インタビューに対応する 吉見昌高専務
業界の稼働率はピークの30%
 板金業界も昨年夏頃から潮目が変わり、11月からは月を追うごとに急激な受注低下が目立っている。1年前と比較すると受注が半減している企業も多い。正社員や派遣社員、外国人研修生、パート社員などの従業員総数と所定外労働時間を加えた総労働時間数で稼働実績をピーク時と比較すると稼働率は30〜40%まで低下している。派遣やパート社員の採用を取りやめ、残業ゼロ、一部で一時帰休制度を取り入れるなど大幅に総労働時間数を削減したところで、損益のイーブンポイントぎりぎり社員の雇用を守り、事業の継続を目指す板金工場にとっては厳しい環 境が続いている。
 ここで紹介する吉見鈑金製作所は、2003年からの6年間で板金工程のデジタル化を加速させた。プログラム室のAP100で作成した属性付き展開図、立体姿図を抜き・曲げ工程で活用することによって、経験が浅い人でも短期間に板金加工のプロに育成し、戦力化するとともに、多能工の養成をデジタル技術でサポート。社長の子息でデジタル化を推進している吉見昌高専務取締役がリーダーとなって、毎月全社員が参加する技能塾を開催、モノづくりの楽しさや喜びを教えている。また、プログラム工程には情報処理を履修した人を積極的に採用、デジタル化に対 応したITインフラを構築した。今ではこうした20代の若い社員が3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを使いこなし、図面やDXFデータで受け取った2次元データから3次元モデルを作成、自動展開で展開図を作成している。さらに、AP100で作成した属性付き展開図をSheetWorks に取り込み、アセンブリーモデルをバーチャルで作成、溶接や組立工程での干渉を確認し製造性を検証するようになった。しかも、検証結果を印刷したり、ノートパソコンに記録して持ち込んだりすることで、発注元へのVA/VE提案に役立て、発注元の設計部門から信頼されるサプライヤーになっている。

有限会社吉見鈑金製作所 ネットワーク運用図有限会社吉見鈑金製作所 ネットワーク運用図
ビューワによって3次元モデルを 溶接工程に活用
 SheetWorksで作成したアセンブリーモデルをビューワによって組立・溶接工程に設置した端末の画面に映し出すことで、抜き・曲げ工程と同じように溶接作業者がこれから溶接する製品の具体的なイメージを確かめながら作業を進められるようになり、溶接不良が減少し、溶接時間の短縮が実現した。
 工場のいたるところにAP100やSheetWorksで作成された立体姿図やソリッドモデルがパネルにして吊り下げられ、作業者は自然に3次元で可視化された製品モデルを目にするようになっている。こうした環境づくりによって、...

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