〜Industrial Trend 〜

食の安全、食料自給率改善が追い風農業機械への関心が高まる





農業機械の出荷金額農業機械の出荷金額
 農業用機械は稲作用、畑作用、果樹園芸用などに分類され、農作業の工程別にトラクター、コンバイン、バインダー、田植機など各種機械がある。戦後、農業の機械化は急激に進行し、農業従事者の労働負担の軽減に貢献してきた。しかし、農家戸数、農作物の作付面積が減少する中で、経営規模の拡大や農作業委託の進展、農業機械の耐久性能の向上もあり、国内出荷は減少傾向で推移している。特に、主要な農業機械の普及は一巡し、近年の農機具需要は、新規ではなく更新需要が中心となっている。
 農業政策の転換や農家の後継者難などで国内の農家数は減少し続けており、農業用機械製造業の事業所数も減少基調となっている。そこでメーカーでは国内需要の飛躍的な伸びが期待できないため、輸出に力を入れている。(社)日本農業機械工業会の統計を見ると、平成19年の出荷実績は5,230億940万円(対前年比94.1%)、このうち国内出荷実績は3,349億6,800万円(同89.4%)、輸出実績は1,881億2,600万円(同103.9%)となった。特にトラクターは94.2%、コンバインは84.8%など、高額機械の減少が目立っている。反面、トラクターを中心としたアジア・中近東向けが好調に推移している。
 農業機械の販売ルートは農協が約6割を占めており、生産財の中でも比較的固定客が多く、各メーカーとしては顧客を囲い込むため、農協などと一体となって農業界の現況や新製品の情報などを農家に的確に伝えることが重要となっている。また販売だけではなくアフターケアも重要で、機械の故障でも迅速に対応できる体制づくりが必要となっている。...

つづきは本誌2009年3月号でご購読下さい。