「地球環境保全」「食の安全」に対応する分析機器産業
これからも生産増伸が見込まれる



日本のモノづくりの品質を支える
鉄道車両の生産推移統計鉄道車両の生産推移統計
 日本のモノづくりの強さは日本人の勤勉さに根付いた「高品質・高精度」にある。そしてそのスキル、モチベーションを支える重要な要素の1つが計量・計測・分析・検査機器産業である。中でも物質の組成、性質、構造および状態などを測定する分析機器産業は日本のモノづくりの品質を保証する製品として生産出荷額が伸びている。


液体クロマトグラフ質量分析計 LCMS-2020(島津製作所)液体クロマトグラフ質量分析計 LCMS-2020(島津製作所)
 分析機器は用途により、ラボ用分析機器、プロセス用分析機器、環境(公害)用分析機器、作業環境用・保安用分析機器、医用分析機器に大別される。ラボ用分析機器は、学校、官公庁、各種産業などの試験・研究機関や現場などにおいて、科学技術の発展、研究開発、製造の工程管理や品質管理用として使われ、主に電気化学、光学、電磁気学などを応用した機器。手のひらサイズの?計から電子顕微鏡など多種多様のものがあり、その生産額は分析機器生産高の70%を占めている。プロセス用分析機器は、浄水場、下水処理場や各種工場現場などに設置して、連続または間欠的に測定できるように自動化された分析機器で、製造・処理工程の管理などに使用される。環境(公害)用分析機器は、地球環境の保全や、健康な日常生活を維持するために不可欠となっている。測定する対象により大気汚染分析装置、水質汚濁分析装置、自動車排気ガス分析計、悪臭分析装置などがある。作業環境用・保安用分析機器は、作業環境を一定の安全衛生基準に維持またはチェックするための分析機器で、携帯用の検知器や可燃性のガスの自動漏洩検知機などがある。医用分析機器は、病院の中央検査室や臨床検査センターなどで、患者の血液、尿、髄液などに含まれる各種成分の定量検査を行い、その結果を診断や治療に役立てる。医用分析機器は、少ない分析用試料で多項目の成分を迅速に分析することができるという特長を備えている。その他、薬理効果を調べたり、人体の代謝構造の研究にも使用されている。分析機器の生産額は図に示す通り、景気動向に影響されて変動しているが全体としては増伸を続けている。景気の影響を大きく受けることなく生産額を増伸させている理由は何なのか。

産業構造のパラダイムシフト
 界同時不況の様相を示しており、主要各国の経済成長は軒並みマイナスとなっている。これまで経済成長をリードしてきた自動車産業は、日米欧の主要先進国や新興市場での販売実績が前年同期比で2桁減となっているのをはじめ、半導体産業など多くの産業が生産・出荷ともに大幅な減少傾向を示すなど、これまで実体経済を支えてきた産業構造が...

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