〜特集:「構造変化に対応する板金業界」〜

パラダイムが変わった。経営者は冬籠りを止めよ
新産業の息吹は確かにある





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「忍の一字」の冬籠り
 昨年9月以降の日本経済の落ち込みは急激である。とりわけ11〜12月の各種経済指標を見ると軒並み前年同期比で2桁の減少となった。特に景気の先行指標といわれる工作機械受注に至っては6割以上落ち込むなど、落ち込み幅は半端ではない。100年に一度の景気減速と言われて政府も平成21年度予算では雇用対策や中小企業支援策など景気対策をてんこ盛りにしているが、どこまで景気の下支えになるのかは分からない。すでに産業界は2009年の景気は大幅なマイナス成長を予測、非正規雇用労働者の雇用打ち切りをはじめ、新規設備投資の凍結・見送りを相次いで発表している。“マザーマシン”と呼ばれる工作機械業界では、直需で受注総額の3割、関連を含めると6割を自動車産業に依存しているため、自動車業界の設備投資凍結の影響が大きく現れている。

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EMZ-3610NTがスケッチ材を加工していく
自動車依存の高いメーカーの中には、2009年の売上見通しを前期比で6割以上の減少と見込むところも現れ、協力会社や取り扱い商社に緊急対策を要請した企業も現れている。当然こうしたマクロの景況は板金業界にも大きな影響を与えており、2008年11月以降の受注は前期比で30〜40%の減少が一般的で、中には95%減という企業もある。落ち込みが激しいのが半導体製造装置や秋口までは堅調だった工作機械、建設機械などで1月以降の受注の目途がまったく立たないという企業も出てきている。そのため、資金繰りに追われる企業が増えており、「しばらくは冬籠り」とじっと我慢の子を決めている経営者も多くなっている。...

パラダイム(常識)シフト(変化)が起きた
しかし、政府が発表した景気対策も、企業経営者の姿勢にも、今回の世界同時不況によってパラダイムシフトが起きているという認識が希薄だ。景気は全治2〜3年で2010年以降には回復に向かうのではないかという漠然とした期待があるように感じられる。そのため、景気対策も対症療法が中心で、パラダイムシフトに伴う抜本的な対策が見受けられない。同様に、経営者のマインドにも1〜2年我慢すれば景気は元に戻るといった安易な楽観論があるような気がする。・・・

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