〜Sheetmetal world〜

海外メディアが見た日本の板金業界(3)
技術革新の原動力は「お客さまの声」−(株)アマダ
アマダとの協力体制を構築する−ユーザー
― イタリアLamiera誌、Vittorio Pesce氏のレポートを一部抜粋



(株)アマダの岡本満夫社長(右)にインタビューするVittorio記者(左)(株)アマダの岡本満夫社長(右)にインタビューするVittorio記者(左)
 (株)アマダは60年以上に渡って板金加工に必要な設備、周辺機器、ソフトウエアと金型・消耗品の設計・製造および販売・サービスを行っている。アマダグループの継続的な技術革新の原動力は、「お客さまの声」である。アマダは生産工程の統合を可能にする「ソフトウエア開発」と「顧客サービス」の2点を基本としている。アマダ本社には実証加工センターがあり、顧客向けサービスも提供している。富士宮事業所には生産工場と研究開発センターがあり、マシンや新しいソフトウエアが開発・製造されている。現在、アマダは4つの特定工業分野の商品、板金加工マシン(全売上高の74%)、金属切断用の切削マシン(同14%)、プレスマシン(同5%)、そして最近100%子会社化したアマダワシノによる工作機械事業(同7%)を持つ。同社が市場に新型モデルを投入する際の新しい手法を「フロントローディング開発」と呼び、これにより最新レーザマシンLC-F1NTシリーズと工程統合マシンLC-C1NTシリーズの開発を実現した。
 実証加工センターは提案するソリューションを実証する場所で、導入を検討する顧客のオペレーターが実際の加工図面、時には加工材料を持ち込んで加工を行う。すべての加工を終えるとすぐ、提案のあった導入効果と実際の加工結果・提案を検証して契約へと進む。実証加工は、通常なら数時間、特殊な場合は3日間くらい続く。実証加工センターをはじめとする複合施設は細部に渡って細心の注意が払われ、顧客の発展を助け、リスクから守り、課題を一緒になって解決しようとする姿勢がうかがえる。

より効率の良い経営とより良い反応
Lamiera誌11月号表紙Lamiera誌11月号表紙
 最初の訪問先のアリギス(株)は、東京の北約100kmの群馬県の主要都市、前橋市の平野にある勤勉な会社である。従業員数は68名で、産業機械や高所作業車、医療機器用のカバーやボックスなどの板金部品を製造している。我々は社長の須田耕司氏からの歓迎を受けた。須田社長は初めにこう言った。「アリギスは1954年に私の父が創業しました。父は株式会社アマダの創業者天田勇氏を直接知っていました。1960年代に、アマダから機械を購入して、非常に厚い板金でいくつかの難しい工程を実施することができるようになりました。それ以来、両社の協業はますます生産的で収益性が高くなってきています」。  現在、前橋工場ではアマダの機械が20台以上設置されている。レーザマシンFOL-3015NT+LST-3015FOLが1台、レーザマシンFO-3015NT 1台、ベンディングマシン15台(HDS-8025NT、HDS-1303NT 2台、FBD3-8025NT3台を含む)、パンチプレスEM-2510NT、VIPROSZ-358NT 2台(ローディング/アンローディング装置を装着)、AP100、SheetWorksとDr.ABE_Bendである。同氏は続けた。「それだけではありません。ここで製造する部品のうち40%はアマダの機械に使われます。ですから、アマダは我々にとって、サプライヤーであるだけでなく、最も重要なお客さまでもあるのです」。...

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