〜Industrial Trend 〜

4年分の受注残を抱える造船業界
海上荷動量の伸び低下で先行きは不安




世界海上荷動量の推移世界海上荷動量の推移
 上記の図は日本造船工業会が発表している「世界海上荷動量の推移」グラフである。これによると新興国の経済成長が進むとともに荷動量は右肩上がりで推移、特に2000年以降は石油、鉄鉱石といった資源や穀物などの食料品の荷動きが活発となり、急激な伸びとなっている。ところがリーマンショック以後は急激な経済の低迷で荷動量にもブレーキがかかっている。特に石油をはじめとした鉱物資源の国際価格が急落、穀物を含めた商品市況はピーク時の2/3以下にまで下落している。原材料価格の下落が経済活動に与える影響は、短期的にはプラスだが、長期的に見ればデフレを招くおそれもあり、不況を加速させる要因ともなる。
 こうした状況で、4年以上の受注残を抱えてきた造船業界でも、荷動量が減少すれば、これまでは不足しているとされていた船舶需給に余剰感が出て、受注キャンセルや新造船受注の落ち込みといった影響が出ると予測されている。しかし、造船工業会が発表している2008年1〜8月の輸出船契約実績は、727万CGT(標準貨物船換算トン数)となり、これは前年同期(2007年1〜8月)の受注量610万CGTを19%上回っている。当初、2008年の受注は、昨年、一昨年の大量受注の反動から、ある程度落ち着いた動きになるのではと考えられていたが、ここまでの実績は昨年を上回る状況となっている。...

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