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「2021年版中小企業白書」

テーマは「危機を乗り越え、再び確かな成長軌道へ」

変化はチャンス ― 経営トップが変革を主導して新たな事業環境への適応を

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新型コロナ対応で事業の見直しが重要に、デジタル化推進も強調

経済産業省・中小企業庁はこのほど、「2021年版中小企業白書」(以下、白書)を発表した。今回のテーマは、「危機を乗り越え、再び確かな成長軌道へ」。

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)が中小企業に与えた影響をきめ細かく分析、その実態を明らかにするとともに、危機を乗り越えるために重要になる取り組みや、経営者の参考になるデータや事例を豊富に紹介した。

令和2年度(2020年度)の中小企業の動向

第1部では足もとの経済状況を概観したうえで、新型コロナによる影響を業種ごとのちがいも踏まえて分析した。

東京商工リサーチが2021年3月に行った「第14回新型コロナウイルスに関するアンケート調査」でも、71.3%の中小企業が新型コロナの影響が「継続している」と回答するなど、国内経済は最初に感染が確認されてから1年以上経っても以前の状況には戻っていない。当面はきびしい経営環境が続くことが予想される。

一方、事業環境の変化に合わせて新製品の開発や新事業分野への進出など、柔軟な対応ができている企業ほど回復が早いことが確認された。

そのうえで白書では、今回の変化を転機と捉え、顧客のニーズや自社の強みに着目し、事業を見直すことが重要だとしている。

画像:テーマは「危機を乗り越え、再び確かな成長軌道へ」経営危機を乗り越えるうえで最も重要だった取り組み

3つの「危機を乗り越える力」

第2部のテーマ別分析では、中小企業の財務に対する意識と業績の関係性を分析するとともに、時代の変化に合わせて日ごろから経営戦略の見直しをはかる重要性を説いた。加えて、事業継続力の強化やさらなる成長・発展のための、デジタル化、事業承継、M&Aなどに関する取り組みについても分析した。

1. 中小企業の財務基盤と新型コロナの影響を踏まえた経営戦略
財務に対する意識と業績との関係などを分析し、財務の安全性を確保し、時代の変化に合わせて経営戦略の見直しに取り組むことの重要性を指摘。
2. 事業継続力と競争力を高めるデジタル化
生産性向上や働き方改革に加えて、事業継続力強化の観点からも、デジタル化の重要性が急速に高まっていることを指摘。デジタル化の取り組みを成功させるうえで重要となる取り組み(意識改革、人材活躍、業務変革、制度見直し、社外との連携など)に着目して分析。
3. 事業承継を通じた企業の成長・発展とM&Aによる経営資源の有効活用
新型コロナの影響や経営者の高齢化により、廃業のリスクも高まる中で、技術や人材を引き継いでいくために重要となる事業承継などの進展状況や、M&Aを活用した規模拡大・新事業展開の取り組み事例について調査・分析。

※ 中小企業庁「2021年版中小企業白書・小規模企業白書 概要」をもとに編集部作成

つづきは本誌2021年7月号でご購読下さい。

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