特集2

高い国際競争力を備える台湾(その2)

試作板金と金型製作を一体で受注、70%は海外

5階建ての新工場が5月から本格稼働

丞毅企業 股份有限公司(Cheng Yi Enterprise co., Ltd.)

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画像:試作板金と金型製作を一体で受注、70%は海外ホテルのロビーを彷彿とさせる1階ロビー

28歳でプレス工場の工場長に

張文正総経理は高校を卒業した1979年に、パナソニックの協力会社である従業員数70名の金属プレス加工企業に入社。入社後は部品加工を学び、やがて品質管理、生産管理を担当し、28歳で工場長に就任、生産全体を管理する立場にまでなった。

しかし、勤務先は共同経営者の意見が対立し、工場長として誰の指示で工場を運営すればいいのかわからず、混乱が生じていた。そこで、当時は同僚だった夫人に相談し、プレス金型を製作する会社を台北縣樹林市金門街で1988年に設立した。

創業資金は2人の貯金と友人からの借金で58万台湾元(214万円)を集め、シンプルな機械を導入した。それまでの勤め先とは異なる分野の仕事だったため、得意先開拓から始めなければならず、昼間は営業、夜になると受注した金型の設計・製作に勤しみ、睡眠時間は4時間というハードさで、毎日20時間ちかく働いたという。

しかし、寸暇を惜しんで働いても初期の設備力では受注できる仕事に限度があり、設備力の不足を痛感した。その時、台湾の大手プレス機械メーカーの董事長が「張さんは技術力があるから製造をやったほうが良い」と、プレスマシン4台を貸与してくれた。そこで、プレス加工の仕事を取り込むようになった。

そして、衛星放送用テレビチューナーの部品加工の仕事を受注し、貸与されたプレスマシンは4カ月後に購入した。この仕事は1年間続いたが、その後は国外へ生産がシフトされた。

画像:試作板金と金型製作を一体で受注、70%は海外ロビーに置かれた自動演奏ピアノの前に立つ張文正総経理

POSシステムの端末製造で基盤をつくる

その後、張総経理は金型設計ノウハウを活かし、スーパーで使われるPOSシステム用の端末装置の製造を受注。同社で金型を製作し、プレス加工を協力工場に依頼することで、月産3万台のPOS端末を量産した。

その後はPCのケース、シャシー、メカ部品加工用の金型製作~プレス量産を、協力工場の力を借りて一貫受注していたが、コストの安い中国へプレス加工がシフトする中、金型を同社が製作し、その金型を中国へ輸出して現地でプレス加工するビジネスモデルに変わっていった。

ところが2004年になって中国の輸入関税が40%に引き上げられ、金型を輸出して中国で量産するメリットが薄れたことで、同社は事業転換を迫られた。おりしも2003年に創業地である樹林市佳園街の近くの新工場へ移転したばかりだった。

画像:試作板金と金型製作を一体で受注、70%は海外ベンディングマシンHDS-8025NT×4台などが整然と並ぶ曲げ加工エリア

つづきは本誌2015年3月号でご購読下さい。

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