特集2

高い国際競争力を備える台湾(その2)

創業20年で売上15倍を達成

デジタル化・ネットワーク運用が進んだデジタル板金工場/設備の限界に挑戦してフル運用

冠亞豐科技 有限公司(Guan Ya Feng)

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画像:創業20年で売上15倍を達成同社で手がける製品例:①R曲げ製品。特型を使ったパンチング加工で切り欠きを入れるノウハウを持つ/②加工後のドア部材/③ドア表面に複雑な紋様を施す加工にも対応する/④複雑な紋様の製品加工も得意とする

台南地域の有力板金サプライヤー

冠亞豐科技有限公司は1994年、2年間の兵役を終えて退役した林正元総経理が22歳のときに創業した。創業時の年商は約840万台湾元、林総経理と従業員1名の計2名で、建築関連向けドアの溶接と組立を手がけていた。

林総経理は、義務教育を修了した16歳からドア関連の板金業界に従事し始めた。20歳で入隊する頃までにはステンレスの低歪み溶接技術を身につけ、建築関連、半導体・FPD製造装置向けの薄板精密板金加工技術に精通するようになり、退役後は自分で工場を始めることを決意していた。

創業してから3年後の1997年、同社は半導体・FPD製造装置関連の仕事を手がけるようになり、世界的なIT革命も背景とし、業容は急拡大した。この時期の仕事としては、台湾にあるEMS(Electronics Manufacturing Service)世界最大手のフォックスコン・グループ(鴻海科技集團)の中核会社である奇美電子が台南に開設した、IT関連のパネル工場向けの設備を手がけたこともあった。

1996年には同社がある台南地域に「南部科学工業園区」(以下、南部サイエンスパーク)が設立されるなど、時代的・地政学的な後押しもあり、ステンレスの低歪み溶接に長けた同社の製品は品質が高いことから、IT関連の仕事が増えていった。

距離的にも南部サイエンスパークに近い同社は、IT関連の仕事を手がけるチャンスに恵まれた。南部サイエンスパークに、液晶パネルメーカーや半導体・FPD製造装置メーカーなどが集積していく中、同社はIT企業のクリーンルームで使われるテーブルや台車の製作をはじめ、設計まで含んだオーダーメイドの仕事に柔軟に対応していった。納品する製品の品質は高く、どのような要望にも応える仕事ぶりはIT企業各社から評価され、新規・リピートを問わず受注は順調に増えていった。

画像:創業20年で売上15倍を達成林正元総経理

板金加工を内製化、専用工場も建設

「お客さまの要望に応えるため、設計から材料の選定まで自社で対応していきました。特にクリーンルームに使われる製品はバリやキズには相当厳しい。そのため、使用材料に保護シートを貼るなど、表面のキズ対策には気を遣いました。しかし、当時は板金加工をすべて社外に依頼しており、手間も相当かかっていました。また、オーダーメイドの場合、協力会社に製品をつくって納めてもらうことにも限界があり、板金加工の内製化の必要性を感じていました。いよいよ内製化を進めるにあたっては、アマダに具体的な相談に乗ってもらいました」(林総経理)。

そして、2003年から2005年までの3年間で、パンチングマシンVIPROS-255、ベンディングマシンHDS-1303NT、HFE、レーザマシンQuattroなどを導入し、板金加工の内製化を実現。得意先の要望にフレキシブルに応えられるようになるとともに、短納期対応力も向上した。2005年には年商8,000万台湾元を達成、別会社(工場)も設立し、板金加工と組立の2社(2工場)体制を構築、板金加工の内製化や生産体制の強化を実現した。

2005年以降も設備投資は継続し、3次元CAD SolidWorksや3次元ソリッド板金CAD SheetWorks、2次元CAD/CAM AP100などを導入、ソフト面の強化にも力を入れた。

直近では、2012年に板金加工の専用工場(敷地面積1,000坪)を建設。2013年にはベンディングマシンHDSシリーズを3台導入するなど、デジタル化・ネットワーク運用が進んだデジタル板金工場となり、スタート時に林総経理が構想した「理想とする工場」が完成した。

画像:創業20年で売上15倍を達成5Sが徹底された工場内

つづきは本誌2015年3月号でご購読下さい。

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