特集2

拡大する医療市場に貢献する板金

グローバルトップメーカー・GEヘルスケア、 日本が担う未来型医療への貢献

開発と製造のコラボを実現する「ストラテジック・サプライヤー」との連携を目指す

GEヘルスケア・ジャパン 株式会社

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画像:CTのガントリ部の生産ライン。コンベアが1時間に1mのスピードでゆっくりと動き、タクトタイムが厳密に管理されているCTのガントリ部の生産ライン。コンベアが1時間に1mのスピードでゆっくりと動き、タクトタイムが厳密に管理されている

前号(2014年4月号)では「特集・拡大する医療市場に貢献する板金」と題し、国内・海外の双方で安定的かつ中長期的な発展が見込まれる医療機器分野と板金加工の動向を報告した。今号ではその続編として、世界の医療市場をけん引するグローバルトップメーカーであるGE ヘルスケアの日本法人、GE ヘルスケア・ジャパン(株) の本社・工場(日野工場)を取材、その戦略やモノづくり・部材調達の考え方を紹介する。

売上規模世界トップ━医療機器の巨人

米国のゼネラル・エレクトリック(以下、GE)は、2013年の総売上高1,460億ドル(約14.6兆円)をほこる巨大企業。そのヘルスケア事業部門であるGEヘルスケアは、GE全体の約12%に相当する182億ドル(約1.8兆円)を売り上げている、売上規模世界トップのヘルスケア総合企業だ。

日本法人であるGEヘルスケア・ジャパン(株)は外資系の医療機器メーカーとして唯一、日本国内に開発から製造、販売、サービスまでの拠点をもつ。2013年の売上高は1,436億円で、GEヘルスケア全体の10%弱を構成している。

東京都日野市にあるGEヘルスケア・ジャパンの本社・工場(日野工場)には、研究・開発・設計・製造などの部門が集約され、CTとMRIのシステムのほか、X線検出器と超音波診断装置のプローブ(超音波の送受信を行うセンサー部分)の開発・製造を行っている。世界各地に開発・製造拠点をもつGEヘルスケアだが、日野工場は主力製品であるCT・MRIのミドル~ハイミドルクラスの開発中核拠点であり、「リーンシックスシグマ」の生産方式を実践するモデル工場と位置づけられている。

画像:製造本部長・工場長の森本淳(あつし)執行役員製造本部長・工場長の森本淳(あつし)執行役員

“診断”に”予防”や”予後”を加えたヘルスケア事業をいち早く展開

同社の日野工場を訪ね、製造本部長・工場長を務める森本淳(あつし)執行役員に話を聞いた。

「1982年に横河電機と合弁で横河メディカルシステム(株)を設立した当初は、画像診断機器を中心とする医療機器の開発・製造・販売・サービスを行っていました。しかし昨今は”診断”から”予防”や”予後”まで幅を拡げ、ヘルスケアのサービスを提供していく方向へとシフトしています」。

GEヘルスケアは2004年、英国のアマシャム・バイオサイエンスの買収にともなって、いち早く「画像診断機器メーカー」から「ヘルスケアカンパニー」への方向性を示した。

日本法人であるGEヘルスケア・ジャパンも、2009年にGE横河メディカルシステムから現社名に変更し、「医療機器」(メディカルシステム)から「ヘルスケア」へのシフトを明確に打ち出した。現在は、従来の「画像診断機器」に「ライフサイエンス・診断薬分野」「ヘルスケアIT」を加えた3つを柱に、トータルソリューションを提供するヘルスケアカンパニーを目指している。

2009年にはGE全体が「より身近で質の高い医療をより多くの人々に提供することでヘルスケア事業の成長を目指す」として「healthymagination(ヘルシーマジネーション)」戦略を立ち上げ、2015年までにヘルスケア分野の研究開発に60億ドル(6,000億円)を投資すると発表。さらに2013年には、ヘルスケア部門で人・機器・データをつなぐ「インダストリアル・インターネット」を実現するための革新的ソフトウエアの開発に、今後5年間で20億ドル(2,000億円)を投資すると発表した。

「当社では10年以上前――ブロードバンドが普及する前から、納入した医療機器をインターネットでつなぎ、機器の予防保全や画面共有によるサポートを行ってきました。これも『インダストリアル・インターネット』やビッグデータの活用にあたります。今後目指していくのは”予防”や”予後”まで視野に入れた、医用画像技術や患者モニターによる膨大なデータの収集・分析、臨床の意思決定支援、医療提供ワークフローの最適化など。こうした取り組みを推進することで、世界の医療市場の80%前後を占める『医療サービス』の領域へと進出・拡大していきます」(森本執行役員)。

画像:国内の医療機関の声をもとに国内で開発・製造している「Optima CT 660」は、全世界で数多く販売されている国内の医療機関の声をもとに国内で開発・製造している「Optima CT 660」は、全世界で数多く販売されている

つづきは本誌2014年5月号でご購読下さい。

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