特集 コスト・衛生への対応が求められる厨房機器・食品機械

Change Over――切り替えの発想が大切
HACCPなどに対応する食品機械の部材加工を手がける

株式会社 ヤマシタ



「Chance、Challenge、Change」をモットーに
代表取締役の山下軍治氏代表取締役の山下軍治氏
(株)ヤマシタは1968年、先代が山下工作所として個人創業。当初から山口県宇部市内にある化学プラント関連の大手企業の子会社である機械メーカーから、機械カバーやフレームの加工を受注し、1984年に(有)山下工作所として法人化した。
創業以来、3C――「Chance、Challenge、Change」をモットーに、得意先のニーズに応えるべく「短納期」「高品質」「低価格」の三拍子がそろったモノづくりを目指して、板金加工だけでなく機械加工分野も取り込み、加工領域を拡大してきた。現在では食品機械や半導体製造装置の部品、各種操作盤・制御盤の筐体、ホッパー、タンク・プラント部品、各種看板・フレームなどの部材加工から組立までを手がけている。
特にステンレスの板厚0.8〜6mmまでの板金・機械加工とTIG溶接などを活用した部材加工に特徴を持つ。加工する材料の80%はステンレス鋼板。薄板から中・厚板、チャンネル・アングルなどの形鋼、角パイプ・丸パイプなどのレーザ加工・パンチング加工を柱に、抜き・切断、曲げ、溶接後の機械加工、複合加工を要する製品の製作など、広範囲な需要に対応する能力を備えてきた。

2012年にステンレス工場を竣工
2012年に竣工したステンレス工場内の組立工程2012年に竣工したステンレス工場内の組立工程
着実に力をつけていった同社は営業活動を活発に行い、現在では山口県内はもとより、九州各県や広島県など県外からの仕事も増えている。最近は山口県内にある蟹蒲鉾かにかまぼこなどの練り製品を製造する食品機械メーカーからの受注が増えてきた。練り製品の加工機のみならず、IH方式のフライヤーなど、大型機械に使われる板金部材の加工も増加傾向にあり、この得意先の仕事だけで受注の30%を占めるまでに成長した。
最近では、堆肥製造装置の製造も手がけるようになり、ラインナップの拡大にも力を入れている。
1996年に2代目社長に就任した山下軍治社長は「『ヤマシタに任せれば安心』といわれるような企業を目指しています。そのためには板金加工、機械加工、溶接と、スキルを備えた職人を育てることが必要です。人材は新卒しかり、パート社員やポリテクセンターなどで職業訓練を受けた人に来てもらっています。そのため、初心者でもベテラン社員と同等の品質で加工ができるような設備の導入を目指してきました」と語っている。
2012年には宇部市臨空頭脳パーク(宇部市大字西岐波)にステンレス工場を竣工した。ステンレス工場には、形鋼やコラムの加工ができるレーザマシンFO-MU RI 3015をシート材料の棚、パイプや形鋼のストッカーを備えた特別仕様で導入。高精度が求められる部材加工や、短納期・低価格への対応が求められる多品種少量品・単品・特急品の加工に対応できる設備力を備えることができた。
竣工したステンレス工場には、レーザマシンFO-MU RIだけでなく、パイプ加工用のNCデータを生成するDr.ABE_Tube、3次元ソリッド板金CAD SheetWorksなども導入し、工場のIT化も推進。複合加工が行える設備を備えることで、加工の付加価値を向上させた。
主力の機械カバーは板厚1.6、2.3、3.2mmの薄板を使用し、カバーを支えるフレームも製作する。フレームは形鋼・角パイプをレーザ切断、アングルとして使用し、ブラケットなどを組み合わせる。フレームは端面のミーリング、穴あけ加工が付随したり、溶接歪みの除去のために機械で仕上げ加工を行う必要があったりする。以前はこれらを外注しており、カバーは出来上がっているのにフレームがそろわないために組立ができないなど、納期遅延も発生していた。しかし、現在は機械加工を内製化したことで板金と機械加工の複合加工にフレキシブルに対応できる生産体制を構築している。...

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