特集 コスト・衛生への対応が求められる厨房機器・食品機械

ホテル・飲食店向けにオーダーメイドの厨房機器を製造
工程の分業化を徹底、効率的なモノづくりを行う

神奈川ステンレス工業 株式会社



厨房機器業界に精通する板金サプライヤー
代表取締役の服部忠誠氏代表取締役の服部忠誠氏
厨房機器の主要な市場は、外食産業の80%を占める飲食店・宿泊施設・社員食堂・病院給食などの給食主体部門。これらの施設が、グループ系列化・チェーン展開されている場合は、レイアウトや設置スペースが規格・標準化されていることが多い。その場合は、厨房機器メーカーがラインナップするカタログ品が納入されるのが一般的だ。
しかし、オーナーの意向や設置場所の都合でレイアウトが異なり、厨房機器メーカーのカタログ品だけでは設置できないケースもある。そのような場合には、寸法・仕様変更を行ったオーダー品で対応しなければならない。
神奈川ステンレス工業(株)は、このようなオーダーメイドの厨房機器の製作に精通した板金サプライヤー。ホテル・飲食店向けにオーダーメイドでステンレス製シンク・戸棚・作業台などの厨房機器の製作から組立までを手がけている。
創業以来、スタッフが持つ技術力を中核に高品質・短納期・低価格に応える板金サプライヤーとして成長してきた。2000年には工場が全焼する火災に見舞われたが、周囲からの支援を支えに再起を果たした。
代表取締役の服部忠誠氏は「今の当社があるのは支えてくれたヒトがあってこそ」と語っている。

厨房機器関連の仕事に特化、売上比率は70%
2010 年の工場移転と併せて導入したベンディングマシンHD- 8025 NT2010 年の工場移転と併せて導入したベンディングマシンHD- 8025 NT
1971年、厨房機器の製造工場に勤めていた先代が独立し、横浜市内で同社を創業。服部社長は先代と同じ企業に勤めていた上司と部下の関係で、声をかけられ、同社に入社した。服部社長はその後、先代からの社長就任の要請を何度も辞退してきたが、1988年、代表取締役に就任した。
先代と服部社長は「食に関わる仕事はなくならない」というスタンスで、ステンレス製厨房機器・器具の仕事を手がけてきた。現在、売上全体の70%が厨房機器で、残りの30%は、大学・病院向けの実習台や作業台、研究所向けの無菌室といった医療機器関連となっている。
厨房機器分野のうち、70〜80%を総合厨房機器の大手メーカー1社から受注しており、取り扱う製品は、シンク・戸棚・作業台・炭火焼き器など様々。エンドユーザーは、ホテル・飲食店などが中心となる。
服部社長は「当社が手がけるのは、都市部を中心としたホテルや飲食チェーン店向けのステンレス製シンク・戸棚・作業台などのオーダー品です。受注形態は、居酒屋チェーン店向け炭火焼き器を除けば、100%新規受注。機器・備品の外形図のみを受け取ることがほとんどで、それから当社で寸法や製造性の検討を行います。オーダー品の特長は、何といっても極端な短納期要求。納入する厨房機器の寸法・仕様は、構造物が建設され設置スペースやレイアウトが決まったあとに、原寸取りを行って確定します。テナントへの入居日や建物の引渡日などが決められているために、お客さまからの要求は常に短納期。当社が受注する仕事のほとんどは、ロット10個以下の製品を7〜14日程度の納期で仕上げて納品しなければならない多品種少量・短納期生産です」。
「また、バフ研磨による表面処理は近隣の専門業者に依頼、当社の納期にあわせ1日で仕上げてもらっています。バフ研磨後は組立・検査を行い、特別な仕様を除き、完成品にまで仕上げます」と語る。
現在の得意先は20社程度で、毎月取引を行うのは10社程度。取り扱う材料はステンレス材が99%超で、SUS430が多い。板厚は1.0、1.2、1.5mmがメインとなる。...

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