特集 コスト・衛生への対応が求められる厨房機器・食品機械

総合厨房機器商社の製造子会社
標準品とオーダー品に対応
フライヤー・茹で麺機・洗浄機・自動調理ラインなどを供給
今後は家庭用の厨房機器にも対応

エース工業 株式会社



総合厨房機器商社・北沢産業の製造子会社
代表取締役社長の平井登氏代表取締役社長の平井登氏
エース工業(株)は1978年の設立当初から、総合厨房機器商社・北沢産業(株)のメインサプライヤーとして、厨房機器の製造を行ってきた。2001年に北沢産業の100%製造子会社となり、今年で12年目。北沢産業の事業発展に歩を合わせ、ともに成長してきた。
北沢産業が取り扱う厨房機器の商品ラインナップは、次の7つに大きく分類される。(1)「プレパレーション」は、シンク・作業台などの作業機器や、ミキサー・スライサーなどの下処理機器。(2)「コールドフーズ」は冷蔵・冷凍庫・製氷機。(3)「ホットフーズ」は、フライヤー、茹で麺機などの加熱調理機器。(4)「サニタリー」は、食器・厨房用品の洗浄機。(5)「サービス」は、コーヒーメーカーやドリンクミキサーなど。(6)「ベーカーズ」は、製パン・製菓機器。(7)「マスフーズ」は、コンベア式の自動調理ラインである。
このうち北沢産業の自社ブランド商品は、グループ内の製造子会社であるエース工業とサンベイク(株)の2社と、協力会社からのOEM供給でまかなっている。
エース工業が製造しているのは、「ホットフーズ」のフライヤー(肉・魚・野菜・菓子など)や茹で麺機(うどん・そば・ラーメン・スパゲッティ)。「サニタリー」の社員食堂などの産業給食で使用する食器や、食品加工場などで使用するバット・番重・コンテナといった厨房用品を洗浄するコンベア式の大型洗浄機。「マスフーズ」の揚げ物・焼き物・蒸し物などのコンベア式自動調理ライン。大型の洗浄機やコンベア式の自動調理ラインになると、全長11mの自動フライヤーや7mの洗浄機もあるという。
売上比率では、標準品・ロット生産での対応が多い『ホットフーズ』が最も多く、準オーダー品やフルオーダー品が多い『サニタリー』『マスフーズ』と続く。仕事量でみても『ホットフーズ』が約50%で最も多く、『サニタリー』が約30%、『マスフーズ』が約20%となっている。

標準品とオーダー品の両方に対応
組立作業中の標準品のフライヤー組立作業中の標準品のフライヤー
標準品の割合は約70%で、残り30%は準オーダー品またはフルオーダー品。標準品は、北沢産業が販売計画をもとにエース工業へ発注、エース工業が販売計画に従った生産計画を立案、安全在庫の範囲で見込み生産を行い、北沢産業の流通センター(埼玉県日高市)に納入して、そこから受注に対応して出荷していく。中には、ユーザーに合わせて寸法が変わる準オーダー品の機種もあり、そうした製品は季節変動や過去の販売実績を考慮しながら、共通部品を在庫しておき、確定受注が入り次第、生産・組立を行う。
大型洗浄機や自動フライヤーは、エンドユーザーのニーズに合わせて仕様をカスタマイズする準オーダー品や、ゼロから設計するフルオーダー品が多い。
一口にフライヤーといっても、例えば、揚げ菓子類や水産加工場で大量調理をする専用フライヤーは、標準的なコロッケやカツ、天ぷらなどのフライヤーとは構造から変更する必要がある。そうした特殊仕様の製品の場合、エース工業のエンジニアが北沢産業の営業担当者とともにユーザーを訪問し、直接要望をヒアリングして、設計・製造上の観点からスペックを提案し、受注につなげていく。
仕様が確定してから納品するまでのリードタイムは2カ月前後。通常、こうした大型物件は月に1件あるかないかだが、現在はとにかく繁忙で月2件入ることもある。こうして大型物件に工数を取られている間も、流通センターの在庫は安全在庫を割り込んでどんどん出荷されていくため、並行して標準品の生産手配も行わなければならず、現場に負荷の大きい生産対応を要請することも日常的になっている。 ...

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