特集 外需を取り込みグローバル化する台湾板金業界

半導体産業を中心に明るさを取り戻す台湾経済
自由経済モデル区で世界のヒト・モノ・カネを集め、さらなる経済成長を目指す



経済同盟で台中関係は改善
台湾の自由貿易港区(FTZ:Free Trade Zone)および近隣の科学園区(サイエンスパーク)/台湾・行政院経済建設委員会説明資料(2013年5月)台湾の自由貿易港区(FTZ:Free Trade Zone)および近隣の科学園区(サイエンスパーク)/台湾・行政院経済建設委員会説明資料(2013年5月)
台湾の国土面積は3万6,192km2と、九州よりやや小さい。人口は2,332万人(2012年末時点)。大半は漢民族だが、約2%(50万人弱)が原住民族となっている。
現在の政権は昨年の総統選挙で勝利し、2期目を迎えた馬英九(マー・インチウ)氏が担っている。馬英九氏は中国との関係改善を目指し、総統就任後は中国との間で「両岸経済協力枠組み協議」(ECFA:Economic Cooperation FrameworkAgreement)という自由貿易協定(FTA)を締結、事実上の経済同盟を発足させるなど、台中関係は回復する方向に進んでいる。
さらに昨年5月の総統就任演説で、(1)経済成長を実現するための力を高める、(2)雇用を創出し、社会的公平・正義を実現する、(3)低炭素・グリーンエネルギーの環境つくりを進める、(4)文化力を強化する、(5)人材の積極的な育成と登用を進める――の5点を台湾の発展を実現するための「5つの柱」として掲げた。また、安全保障政策を巡る「鉄のトライアングル」として、(1)両岸関係(台中関係)の和解、(2)防衛力整備、(3)実務的外交による国際社会での活動空間の拡大――の3点を同時並行で実施・推進していく立場を表明し、中国との関係改善に強い決意を示した。

GDPに占める輸出需要の割合が70%超
こうした台中関係改善施策もあって、台湾は中国との経済的な結びつきが深まっている。それだけに、中国の経済発展が“高速”から“中高速”に変化する中で大きな影響を受けている。
現在の台湾経済を見ると、2011年10〜12月期を底に回復基調に転じたものの、回復の足取りは鈍い。2012年の台湾の実質GDP成長率は前年比1.26%と、前年の4.07%から2.81ポイント下落した。輸出依存度が70%を超える台湾にとって、最大の輸出先である中国や欧米諸国などの経済が低迷していることが成長鈍化の主因となった。
それだけに台湾にとって最大の貿易相手国である中国経済の動向に関心が集まる。中国経済が停滞する中で、2012年の対中直接投資も前年比11.0%減と2年連続の減少となり、対中輸出・投資ともに中国経済減速の影響を受けた。この傾向は2013年に入っても継続しており、2013年第1四半期の実質GDP成長率は、輸出や民間消費の伸び悩み、半導体メーカーなどによる資本財輸入の増加などが押し下げ要因となり、前年同期比1.67%と、前期(2012年10〜12月)の3.97%から再び鈍化した。
こうしたことを背景に台湾の行政院主計総処(内閣府統計局)は5月になって、2013年の実質GDP成長率を2月時点の予測値の3.59%から2.40%に下方修正した。...

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