〜Interview〜

材料メーカー視点のモノづくり
トータルソリューション提案でマーケットを創造

日新製鋼 株式会社 技術研究所 加工技術研究部 黒部淳 工学博士



モノづくりへのニーズが多様化する中、コスト・軽量化・意匠性などの要求を満たすため、新素材や他素材への材料置換事例が増えている。中でも、日新製鋼が開発した高耐食性溶融めっき鋼板「ZAM」は、プレハブ住宅の構造材、自動車用部品(モーターケースなど)、太陽光発電モジュールの架台などへの採用事例が年々増加している。そこで、ZAMを開発した日新製鋼鰍ナ材料メーカー視点のモノづくりについて研究を行う、技術研究所 加工技術研究部 加工第三研究チーム チームリーダー 黒部淳 工学博士に話を聞いた。


――加工技術研究部の概要を教えてください。
黒部淳工学博士黒部淳工学博士
黒部淳工学博士(以下、姓のみ) 日新製鋼では顧客満足度向上を目指して、お客さまのニーズに密着した提案型の研究開発を行っています。当社には、5つの研究部があり、それらの研究部のうち、私は加工技術研究部(大阪府堺市)に在籍しています。加工技術研究部は4チーム体制で、CAEによる数値解析や、製品の加工・溶接条件の最適化検討、加工法や溶接方法の提案、加工製品の開発などを行っており、私は主にプレス加工技術や鋼管の2次加工技術を研究しています。

――モノづくりの現況や方向性については、どのようにお考えですか。
後めっき工程の省略(塗装不要)を提案するZAM製の「HV用バッテリーモジュールケース」(自動車部品)後めっき工程の省略(塗装不要)を提案するZAM製の「HV用バッテリーモジュールケース」(自動車部品)
黒部 新たなマーケットを創造・開拓していかなければ、材料メーカーも生き残ってはいけないでしょう。しかも、トータルなソリューション提案を行わなければ、マーケットの創造にはつながりません。例えば新素材を開発した場合ですが、加工事例や使用実績がないため、お客さまにとっては加工方法やメリットが分かりづらい面もあるかと思います。そのためお客さまには、材料特性のメリットを提案するだけでなく、プレス・溶接方法などの技術協力を行い、材料特性を引き出してトータルコストを下げるソリューション提案を推進しています。こういった取り組みは、当社だけなく、他企業や国内外でも主流になってきています。ただ、先端の加工技術や加工ノウハウを熟知していないと適切な提案はできません。そのため、これからは加工機メーカーとの協業なども視野に入れ、開発テーマやシーズ・ニーズを汲み取り、新たなマーケットをつくりあげていく必要があると考えています。...

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