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産業動向
2013年版「ものづくり白書」
日本のモノづくりにおける競争力低下を懸念



基幹産業である製造業の競争力低下を懸念
政府は6月、2013年版「ものづくり白書」(ものづくり基盤技術の振興施策)を閣議決定し発表した。
白書では、製造業の現状について「円高是正を背景に足元では業況が改善しているが、中長期的には競争力の低下が懸念されている」と指摘。「立地環境の整備」、「技術・設備の維持・強化」、「ビジネスモデルの変革」、「新陳代謝の促進」の4つの観点から、製造業が抱える課題と今後の方向性を示した。

経済連携などで海外との立地環境格差を改善
日本のモノづくり産業の変化/経済産業省日本のモノづくり産業の変化/経済産業省
日本の製造業は、自動車・電気機器・精密機器産業といった「加工型製造業」が先行する格好で海外展開が進んできた。近年では、金属加工・鉄鋼・非鉄金属加工業などの「素材型製造業」の海外展開も増加。2017年度には海外現地生産を行う企業の割合は「加工型製造業」で約80%に達すると見込まれている。
そのため白書の「立地環境の整備」では、日本国内でモノづくりを行うことは、電力コストや経済連携の遅れなどの点から、米国・ドイツ・英国・韓国などと比べ割高になっていると指摘する。日本は、有力産業に関連する企業群が地理的に集積している。そのため、ローカルサプライヤーの数が多く、輸送費が安いといった優位性がある。しかし、その一方で、法人税やエネルギーコストといった「産業基盤」や、労働人口や賃金水準といった「労働力」などの面では劣っている。
白書では、こうした立地環境格差の是正のためには、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)やRCEP(東アジア地域包括的経済連携)、日中韓FTA(自由貿易協定)などの経済連携を早急に実現することが急務であると提言する。...

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