特集 〜次世代ブランクマシン活用事例〜

「自動化できる工程は、徹底して自動化」
最新加工マシンACIES、FOL-AJ などを次々に導入
自動化ラインの構築で“無人化工場”を目指す

三光産業 株式会社



「自動化できる工程は、徹底して自動化」
代表取締役の堀 武美氏(左)と製造部2 課課長代理の堀 武大氏(右)代表取締役の堀 武美氏(左)と製造部2 課課長代理の堀 武大氏(右)
三光産業鰍ヘ、埼玉県入間郡越生町に3つの工場を持ち、移動体通信基地局向けをはじめとする電源筺体の設計・製作・組立を主力に、最近では太陽光発電システム用パワーコンディショナ(以下、パワコン)やEV(電気自動車)に対応した急速充電器などの筐体板金を手がける有力板金サプライヤー。また、自社開発したバリ取り装置「バートル」「ハンドリング・バートル」の製造・販売も行っている。
創業は1944年で、1947年に法人改組。もともとはプレス加工による農機具の製作を手がけていたが、付加価値を高めるため溶接工程に注力し、消火器の自動化ラインを立ち上げ、自動ドアのステンレス製框かまちなどの受注に成功していった。1982年頃には、通信業界からの仕事を受注するようになり一気に板金加工業へと移行した。
同社は5年ほど前から、自動化・安全化の取り組みや最新加工設備への投資に一層力をいれている。その目的を、代表取締役の堀武美氏は「日本国内で生き残るため」と言い切る。
「自動化できる工程は徹底的に自動化していかないと、コスト競争力や差別化などの面で競合相手に後れをとってしまう。モノづくりを日本で続けていくためのキーワードは、“自動化”や“安全化”。そのためにコンスタントな設備投資が重要です」(堀社長)。

太陽光発電システム用パワコンの仕事が好調
EV用充電器の伸びに期待を寄せる

本社工場に導入したファイバーレーザマシンFOL- 3015 AJ本社工場に導入したファイバーレーザマシンFOL- 3015 AJ
同社の売上全体の60%強を占める電源筺体は、各種合わせて月産1,000台以上を製作。主な得意先は大手電源メーカーで、屋外設置用の電源装置を多く手がけてきた。移動体通信基地局向け電源装置は、基地局の新設需要が落ち着いたことで、以前に比べて受注量は減少している。
その一方で、同社では、耐候性を加味するとともにコストを考慮した、ステンレスに代わる材料として注目されるZAM(高耐食性溶融めっき鋼板)を素材にした電源筺体を開発。最近、電気通信事業者(キャリア)向けの電源筺体として、得意先の大手電源メーカーに正式採用され、ZAM製筺体の仕事が増えてきている。
このほかに好調な仕事は、パワコンとEV用充電器の筐体製作。パワコンは、既存の得意先からの受注で、再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度が始まった2012年7月以降から急激に増え出した。
EV用充電器は、経済産業省が充電装置のステーションを全国にガソリンスタンド並みに設置することを発表したことにより拡大してきた。EV用充電器の筐体は、筐体意匠のデザイン要素が高まっている。同社では、得意先から支給されるデザインデータに基づき、3次元CADによる加工図提案を行い、受注に結びつけている。
堀社長は「パワコン関連の仕事は、半年ほどで落ち着くだろうと見込んでいました。しかし、見込みを上回る受注が続き、少なくとも今年中は堅調に続く見通しです。当社では8機種のパワコンを手がけ、筺体サイズは最大W300×D600×H700 mmで、出力帯は5kWと10kWになります。基本的には標準品のリピート加工を行っています」。
「ZAM製筺体は、優れた耐候性を持つZAMを採用することで、屋外仕様の塗装が不要となり、コスト削減効果が高い点を特に評価していただきました。当社で設計から任せていただき、すでに連日、本社工場の生産ラインで製作しています。今秋から今冬にかけて、多量のZAM製筺体を製作する予定です」と語る。
また堀社長は、経済産業省が今年3月、「次世代自動車充電インフラ整備促進事業」としてEVやHV用充電器を対象に、1,005億円の補助金制度の申請受付を開始した点を踏まえ、「化ける可能性がある分野」と期待を寄せる。...

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