特集 〜次世代ブランクマシン活用事例〜

ACIES×3台・EML×3台を武器に中厚板から精密板金まで対応
スケールメリットを活かした圧倒的なコストパフォーマンスで業績拡大

株式会社 内山製作所



スケールメリットを活かし、圧倒的なコストパフォーマンスで業績拡大
代表取締役社長の内山進氏代表取締役社長の内山進氏
(株)内山製作所を取材するのは、3年ぶりとなる。3年前(2010年)の取材は2010年5月期の決算直後。リーマンショックの影響で売上が約30%減少したにもかかわらず、内山社長は「今後はパンチ・レーザ複合マシンを10台前後設備して板厚別に専用機化し、タップや成形加工を統合することで、さらなる合理化を図りたい」と意気軒昂な姿勢を崩さなかった。
それから3年、同社はどのような成長を遂げたのか。
(株)内山製作所は、油圧ショベル、クレーン、ホイールローダなどの建設機械や特殊車両で使用されるエンジンブラケット、フランジ、サポート、フットレストといった中・厚板の構成部品や、カバー類を中心に製造している。
内山社長は20代で大手トラックメーカーの協力企業で生産技術に関わり、エンジン工場のノウハウを取得。その経験をもとに、協力企業の立ち上げからサプライヤーまで含めた生産合理化・SCMまで手がけた。その後は大手機械メーカーで生産設備のレイアウトから立ち上げ、自動倉庫を含めたFMS構築に取り組むなど、生産技術の最前線で活躍してきた。1985年、30代で独立して同社を設立し、建設機械・特殊車両メーカーと取引を開始した。自動化が進んだ薄板加工とはちがい、合理化の余地が多分に残された中・厚板をメインとする板金加工業に参入していった。
内山社長は創業当初から、スケールメリットを活かした板金加工の自動化ライン構築を目指してきた。創業後7 〜 8年間は“規模”の拡大のためにひたすら受注拡大に力を注ぎ、規模の拡大にともなって、積極的な設備投資による生産合理化を進めてきた。リーマンショックの影響で2010年5月期の売上は約30%減となったが、その後の3年間でパンチ・レーザ複合マシンを4台、ベンディングマシンを8台、ロボット溶接機を16台増設するなど、設備投資の手をゆるめることはなかった。
そうして圧倒的な生産能力とコストパフォーマンスを武器に、大手建設機械・特殊車両メーカーからの受注量を拡大していく。2011年5月期の売上高は建設機械のモデルチェンジと国内需要の回復が重なり、ピーク並みに回復。2012年5月期の売上高も前年比30%程度の増収となった。前期(2013年5月期)は同10%以上成長し、今期(2014年5月期)も同15%前後の成長を目指す。現在の材料使用量は月間900トンを超え、従業員数は、この3年間で100人から180人へと増加するなど大きく発展している。

建設機械のモデルチェンジのチャンスを獲得
リーマンショック後の低迷期でも果敢に設備投資

曲げ工程。18 台のベンディングマシンはすべてレーザ式安全装置付き。そのうち8 台がアマダのHDシリーズで、すべてBi-J(自動曲げ角度補正システム)付きとなっている曲げ工程。18 台のベンディングマシンはすべてレーザ式安全装置付き。そのうち8 台がアマダのHDシリーズで、すべてBi-J(自動曲げ角度補正システム)付きとなっている
リーマンショック後の低迷期でも設備投資を続けた背景には、排出ガス規制強化による建設機械のモデルチェンジがあった。
内山社長は「世界の景気が落ち込む可能性は、2007年にサブプライムローンが破綻した時点で意識していましたから、2008年秋にリーマンショックが起こった後も右往左往することはありませんでした。それよりも、建設機械が排出ガス規制の強化による10年に1度のモデルチェンジを間近に控えていたことの方が重要でした」と語る。
2009年当時、2006年に施行された建設機械の排出ガスを規制する『オフロード法』が、2011年に強化され、大型機種から順次適用されていく方向性が固まっていた。
「モデルチェンジのタイミングは、受注を拡大する最大のチャンス。設備投資を止めて、このチャンスを逃すわけにはいきませんでした。『設備は後で買うから仕事を出してほしい』と訴えかけて、首を縦に振るお客さまはいません。景気がどん底の状況でも設備投資を続ける必要がありました」(内山社長)。...

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