〜Sheetmetal World〜

段階的な設備拡張で自動化・知能化を目指す
日系大手からの発注量増大で70%の増収見込み

上海恰克工貿有限公司



日本の4年制大学を卒業――感覚は日本人
パンチングマシンEMZ-3510NTの前に立つ孫學新董事長パンチングマシンEMZ-3510NTの前に立つ孫學新董事長
同社を創業した孫學新(ソン・シュエシン)董事長は1990年に来日し、2年間日本語学校で日本語を学んだ後に専門学校、大学と日本で学び、1996年に4年間の大学生活を終えて日系の商社に入社、日中間の貿易業務を担当した。その後、日本の製造業が人件費の安い中国から部材を調達する仕事に関わり、1997年に中国へ帰国。日本の大手企業が具体的に中国で部材調達する仕事に携わった。
中国での調達先品質や納期の実態を見る中で、「自分が調達先のサプライヤーだったら、日本の得意先の満足度を高めることで、日系企業からもっと仕事が受注できる」と考えるようになり、2000年に独立して金属プレス加工業を創業した。
しかし、プレス加工のような量産品は付加価値が少ない。そこで、多品種少量生産に対応できる板金加工に着目した。2003年にはプレス加工の傍ら、中国ローカルメーカーの板金加工設備を導入し、多品種少量の板金製品の仕事を行うようになっていった。
2002年には日系の大手電機メーカーからコンプレッサー関連の仕事を受注。2005年には日系の大手産業機械メーカーからポンプ、コンプレッサー関連の仕事を受注するようになり、一部サブアッシーしたコンポーネントを日系企業の日本工場へ供給するまでになっていった。
また、日系大手電機メーカーは様々な事業部門を持っており、同社が取引を行う事業部門も、中国への工場進出を果たした。こうして同社は日本工場のみならず、日系の中国工場へも部材・コンポーネントの納入を行うようになっていった。

顧客満足度改善のために日本製設備の導入を決心
ベンディングマシンHDS-1303NT(追従装置付)ベンディングマシンHDS-1303NT(追従装置付)
日系企業との取引が拡大し、日本国内の工場へ製品を納品する割合が高くなってくると、これまで以上に品質の改善を求められるようになってきた。それまでは中国ローカルメーカーの加工設備を、イニシャルコストが安いからという理由で導入してきた。しかし、得意先の要求品質を満たし、日本のマザー工場へ納品するようになると、日本の同業者――日系サプライヤーとのQ,C,Dを巡る競争にも対応していく必要が生じてきた。「日系サプライヤーのQ,C,Dに対抗するためにはローカルメーカーの設備では戦えない」と判断した孫董事長は、2007年頃から日系メーカーの設備導入を検討するようになっていった。
日本製設備の導入を真剣に考え始めたきっかけは、アマダとの出会いだった。2010年にアマダ上海が企画したジャパンツアーに参加し、アマダ・ソリューションセンター(神奈川県伊勢原市)を訪問。パンチングマシン、レーザマシン、ベンディングマシンをつぶさに見てまわった。...

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