〜Next Generation〜

パンチング全自動型ソリューションマシンEM-ZRシリーズ
独自技術の融合により高速・高生産・高品位加工を実現

(株)アマダ ブランク第二開発部 浅見 淳一



パンチング全自動型ソリューションマシンEM-ZRシリーズ
●図表2 タレットモジュールをブラシテーブル下に配置し(左)、加工時に必要な金型が単独で昇・下降を行う(右上・右下)●図表2 タレットモジュールをブラシテーブル下に配置し(左)、加工時に必要な金型が単独で昇・下降を行う(右上・右下)
タレットパンチプレスは、現在までに既納入台数がアマダだけで3万3,000台を超えるまでになり、商品としては成熟期に入っています。一方、市場ニーズはますます多様化し、加工マシンに対しても変種変量生産・短納期対応がより強く求められるようになっています。このような環境の中、加工設備に対しても、市場ニーズに合致し、従来の設備と差別化され、かつ、ユーザーの利益に直結する製品が必要とされています。
それらを背景に当社は、独自技術の融合により、高速・高生産・高品位加工を実現するパンチング全自動型ソリューションマシンEM-3612ZRを開発しました(図表1)。
EM-3612ZRは5´×10´材のワンクランプ加工ができ、高速スライドを搭載した高生産加工はもちろん、成型加工品のキズレス高品位加工も実現しています。さらに、「ID金型」と加工制限をなくした構造と合わせて、変種変量生産・長時間連続運転をも可能にしています。
これらのコンセプトを実現したEM-ZRシリーズをご紹介します。

裏キズレス加工を実現するZRタレット+全面フルフラットテーブル
タレットモジュールをブラシテーブルの下に格納することにより、ワークが通過するパスライン上には、加工時に使うダイのみが存在する「全面フルフラットブラシテーブル構造」を実現しました。パンチセンターには、必要な金型のみが単独で上昇・加工を行うといった、タレットパンチプレスとシングルパンチ双方の長所を兼ね備えた新しいタイプの機構を採用しています。装着可能な金型は、従来同様、1/2インチから4-1/2インチまで。また、指令選択した金型サイズごとに変化開口するブラシシャッターテーブルにより、安定したパスラインが確保され、それによりワークの高速搬送を実現しています(図表2)
また、ダイの上下量をNC指令によって任意に位置設定する「自動ダイ上下機構」を搭載。通常加工・成型回避を目的とした上下動作のほか、金型(ダイ)の保守によるハイト変更に対しても従来のダイシムが不要となり、NC指令による適正位置への自動設定が可能となっています。
これらによりタレットパンチプレスの誕生以来の課題とされてきた金型(ダイ)とワークとの干渉、キズ、腰折れ、および金型の保守といった課題を一掃。金型レイアウト、加工順序の設定、ネスティング、加工速度など、プログラマとオペレータが苦慮してきた問題が解消され、加工プログラム作成作業の負荷低減を一段と促進させました。
さらに、パンチング加工におけるカス上がり対策としては、従来から効果のある「カスサクション」(強制吸引方式)の性能をさらに向上。金型サイズごとに独立した吸引構造をすべてのステーションに装備し、適正吸引を行うことで、カス上がりを原因とする不良撲滅に寄与します。...

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