〜SHEET NOW〜

重厚長大産業向けの曲げ加工に特化
航空機・発電所関連などが好調 新設備HDが円錐曲げ・テーパー曲げなどで威力を発揮

大山工業 株式会社



大型・厚板・長尺の曲げに特化
代表取締役社長の大山茂幸氏(左)、取締役の大山剛史氏(右)代表取締役社長の大山茂幸氏(左)、取締役の大山剛史氏(右)
大山工業(株)は、愛知県一宮市にある曲げの専業メーカー。ベンディングマシンによる4.5〜12mmの中厚板の折り曲げ加工、門型油圧プレスによる板厚110mmまでの曲げ加工、そのほか形鋼・パイプ・ロールの曲げ加工など幅広く対応し、高い評価を得ている。
同社は1953年、大山社長の父親が名古屋市熱田区で個人創業して以来40年近く、木工用油圧プレスのフレームなどの溶接製缶を手がけてきた。しかしバブル崩壊後の1993年頃から、プレスや各種ベンダーなどの設備を活用することによる付加価値の高い仕事の獲得を目指し"曲げの専業メーカー"へとシフトしていく。
「溶接製缶の仕事は、よほど難しい製品でない限り高い付加価値は望めません。バブル崩壊後の仕事が薄かった当時、社内に古い油圧プレスが1台あったのですが、油圧プレスによる厚板の曲げ加工は単純な溶接と比べて付加価値が高く、設備を活用して曲げの専業へとシフトしていこうと考えました」。
油圧プレスだけでは仕事が集まらないため、まずはアングルベンダーを4台導入した。その後は、ベンディングマシンやベンディングロール、パイプベンダーなどを中古で少しずつ導入して加工能力を強化し、新規得意先を開拓。5年程度かけて溶接から曲げへと比重を移していった。

板厚16mm超の曲げで真価
"曲げの専業メーカー"として手がけてきた製品は、建築用のH鋼やパイプ、プラント用のダクトやフレーム、造船関連・港湾用クレーン・シールドマシン(掘削機)・海外向け大型建機などのフレームやカバーなど。現在は、航空機や発電所関連など重工・重電関連の仕事が好調だ。
ベンディングマシンで加工する材料は軟鋼の板厚4.5〜12mm、ステンレスの板厚3〜12mmが多い。しかし、同社が真価を発揮するのは一般的なベンディングマシン機で使用する炭素繊維複合材の積層治具だ。
大山社長は「お客さまからはまず、3次元CADで作成した立体的な外形図を受け取ります。これが具体化していくと、ひねりつつ微妙なR面をつけたような複雑な3次元形状であることがわかってきて、お客さまと打ち合わせながら分割位置を決めていきます(2〜4分割)。それからゲージラインがびっしり書き込まれた材料が支給され、ゲージを頼りに加工していきます。この段階になってからうまく加工できず、加工方法を寝ずに考え、お客さまの力を借りながら対応したこともありました。当社の技術だけでできた製品ではありませんが、競合他社と比べて精度が高いと喜んでくださり、数年は継続して仕事をいただけそうです」。...

2012年9月に導入した同社初のNC制御ベンディングマシンHD-5005NT(500トン・5m)。2012年9月に導入した同社初のNC制御ベンディングマシンHD-5005NT(500トン・5m)。
「上部テーブルの左右の押し込み量を別々に設定でき、円錐曲げ・角丸曲げ・テーパー曲げなどが劇的に簡単になった」(大山社長)「上部テーブルの左右の押し込み量を別々に設定でき、円錐曲げ・角丸曲げ・テーパー曲げなどが劇的に簡単になった」(大山社長)

つづきは本誌2013年7月号でご購読下さい。