〜SHEET NOW〜

グローバリゼーションに対応するデジタル板金工場
ITと外国人実習生を活用し、多国籍・ボーダレスで生産対応

服部工業 株式会社



3年連続増収を達成
代表取締役の服部元巳氏(左)と専務取締役の服部太志氏(右)代表取締役の服部元巳氏(左)と専務取締役の服部太志氏(右)
「製氷機などの厨房機器は夏場へ向けて増産に入ろうとしています。政権交代で補正予算が成立してからは建築関係も好調です」と代表取締役の服部元巳氏は語っている。
愛知県名古屋市にある服部工業(株)。名古屋近在の大手メーカーを含む十数社と取引し、製氷機を中心とする厨房機器、防犯カメラなどのセキュリティ関連機器、鉄道・高速道路の防護壁、建築関係、自動車関連の仕事を手がける。
メインの得意先は5社。厨房機器関連が売上全体の60〜70%を占めている。2009年はリーマンショックの影響で仕事量が大幅に落ち込んだが、その後は順調に回復。2010から2012年まで3年連続で増収となった。2013年も20〜30%の増収が見込まれるという。
外国人実習生を受け入れ
ベトナム事務所のスタッフとは、メッセンジャーソフトSkypeで連絡を取り合い、PCリモートコントロール(遠隔操作)ソフトでデータを共有するなど、ITツールを駆使して連携しているベトナム事務所のスタッフとは、メッセンジャーソフトSkypeで連絡を取り合い、PCリモートコントロール(遠隔操作)ソフトでデータを共有するなど、ITツールを駆使して連携している
同社の大きな特長のひとつが、社員構成。
従業員32人のうち、半数の16人がパート社員で、正社員は9人のみ。残りの7人は、中国・ベトナムからの研修生・技能実習生(以下、実習生)。同社は2005年からベトナム人実習
生を受け入れはじめ、3年の実習期間を終えてベトナムに帰った元実習生とも親交を保っている。
2011年には、ベトナム・ホーチミン市内に事務所を設立し、同社で3年間の実習を終えた元実習生2名を採用した。ベトナム事務所は、メッセンジャーソフトSkypeで連絡を取り合い、PCリモートコントロール(遠隔操作)ソフトでデータを共有するなど、ITツールを駆使して名古屋の本社と連携。本社で受注した仕事のうち、試作・新規・設計変更など、板金設計・展開・プログラムを要する仕事のほぼすべては、ベトナム事務所で3次元ソリッド板金CAD SheetWorksによるモデリング、2次元CAD/CAM AP100による展開・プログラムを行っている。
ブランク加工をC1で行った製品。投光器のフレーム(鋼板・板厚4.5mm)で小誌2月号「工作機械カバーの新しいモノづくり提案」
内の「ハーフシャージョイント加工を利用した補助突き当て」を付加する加工方法を応用したブランク加工をC1で行った製品。投光器のフレーム(鋼板・板厚4.5mm)で小誌2月号「工作機械カバーの新しいモノづくり提案」内の「ハーフシャージョイント加工を利用した補助突き当て」を付加する加工方法を応用した
同社の受注アイテムは試作を含まず月1,000件前後。このうち新規品が約35%で、リピート品が約65%。新規の仕事の多くはリピート受注が見込まれ、受注品目数は年々増えている。試作は月100〜200件。新規品だけで月350件前後、試作を含めると月500件前後のプログラムを作成していることになる。
さらに今年4月末からは、期限付きの「研修生」ではなく、労働ビザを毎年更新することで長期滞在ができる「エンジニア」として、ベトナムの工業系大学・短大の新卒者2人を受け入れた。今後はオペレータ中核スタッフとして育成し、新たに受け入れる研修生の教育係としても活躍してもらおうと考えている。...

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