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飽くなき“カイゼン”で新規開拓を目指す
板金・溶接・塗装・シルク印刷・梱包の一貫生産に対応

株式会社 オーエイ



一貫生産を強みに新規得意先を開拓
取締役会長の久保忠男氏(左)代表取締役社長の久保誠氏(右)取締役会長の久保忠男氏(左)代表取締役社長の久保誠氏(右)
「リーマンショック以来、企業体質の強化と新規得意先の開拓に取り組んでいます」と久保誠社長は強調する。
神奈川県相模原市内の清水原工業団地に工場をかまえる(株)オーエイは、創業以来、相模原市内にある住宅設備メーカーの協力工場としてレンジフードなどの製作を手がけてきた。
ところが、サッシ・建材・住宅設備業界では2000年代に入ってから、INAX・トステム・サンウエーブ・新日軽などを傘下に置くLIXILリクシルグループ(旧・住生活グループ)を中心に業界再編の動きが活発化。同社の主力得意先である住宅設備メーカーも過当競争へと巻き込まれていった。リーマンショック以降は再編の動きに拍車がかかり、レンジフードの仕事量は減少していった。
主力の仕事量が減少する中、同社は板金加工から溶接・塗装・シルク印刷・梱包までの一貫生産に対応できる強みを活かし、新規得意先からの受注獲得に努めてきた。一時は住宅設備メーカーからの仕事が売上に占める割合が90%超におよんでいたが、現在では60%程度まで減少している。
同社を含む5社が共同でベトナムに設立した「データアシストソリューションズ」とビデオチャットで打ち合せを行う。同社の場合、展開からCAM割付けまでの作業を委託している同社を含む5社が共同でベトナムに設立した「データアシストソリューションズ」とビデオチャットで打ち合せを行う。同社の場合、展開からCAM割付けまでの作業を委託している
得意先のさらなる開拓を目指す久保社長は「業種は限定しませんが、当社のメインターゲットは“メーカー”です。規模が小さくても自社製品をもっているメーカーの1次サプライヤーになることを目指します。さいわい三多摩地区には、ファブレスの中小メーカーを含め、研究開発型の企業が多くあります。しかも、これだけ不況が続いた影響で、リスクを負って設備投資をすることに躊躇したり、今まで製造部門を持っていても整理して身軽になりたいと考えたりするメーカーが増えています。そうなると今度は、モノづくりができる会社が近くにあることが求められます。そうしたニーズをすくい上げていきたいと考えています」と語っている。

「Driver & Dictionary――夢の実現のために“働く手”と“考える手”を持ちましょう」
青山学院大学 理工学部 経営システム工学科 教授 松本 俊之 氏
松本 俊之(まつもと・としゆき)松本 俊之(まつもと・としゆき)
博士(工学)。慶應義塾大学理工学部管理工学科卒。同大学の金沢孝教授に師事し、管理工学を学ぶ。青山学院大学理工学部の教授に就任。専門分野はIE。「見る、視る、観る、やって試る」を基本姿勢とするIEの研究と教育・実践を通して、日本流のIEの確立を目指している。
(株)オーエイ(24ページ)の改善活動をアドバイスする青山学院大学の松本俊之教授。経営工学の中でもIE(Industrial Engineering)を専門とする松本教授は「カイゼン」と「教育」をテーマに、大手メーカーや中小製造企業との産学連携を通じて、生産企業のモノづくりプロセスにおける改善、環境教育と環境経営、経営工学の教育システムなどの研究を行っている。トップダウン型の“カイゼン”とは一線を画した“燃える”ボトムアップ型の“カイゼン”を提唱する松本教授に、最近の研究テーマと日本の製造業の特質などについて話を聞いた。

――松本教授の研究について教えてください。
松本俊之教授(以下、姓のみ) 現在の日本があるのは、企業がモノづくりを大切にしてきたからです。しかし近年は、企業の海外進出・労働力の流動化などにより、モノづくり力の低下が危惧されています。これからの日本は、メガコンペティションを勝ち抜くために、生産現場の“改善力”を開発・販売へと拡大すること、マネジメント全体での生産性向上へと拡げていく必要があると考えています。こうした変化に対応できるように、当研究室では製造企業のモノづくりを基本にして、企業での改善、環境教育と環境経営、経営工学の教育システムなどについて研究を行っています。いくつかの大手メーカーや中小製造企業とは、産学連携で様々な改善活動や共同研究も実施しています。...


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