特集 〜“製造回帰”に期待がかかるアメリカ最新板金事情〜
米国製造業の“ルネッサンス” 久しぶりに米国板金業界を歩き、20年ぶりに会った板金工場の経営者から「リショアリング」という言葉を耳にした。 リショアリング(Reshoring)とは「製造業の国内回帰」「製造回帰」と訳され、製造拠点を海外から国内に戻すことを表し、その傾向が米国内で活発になっている。新聞報道などによると、米国企業のリショアリングを促進する業界団体「リショアリング・イニシアチブ」の創立者であるハリー・モーザー氏は「米国の製造業は復活し、米国経済の回復を導いている」と語っている。 リショアリングが米国で活発になり始めたのは2011年以降。昨年11月に再選されたオバマ大統領も選挙遊説では「米国製造業の“ルネッサンス”(再興)」を掲げた。長らく停滞していた米国製造業が今、脚光を浴びている。 人件費の高騰と知的財産権軽視などへの不満が底流に 背景には、中国における人件費の上昇やカントリーリスクへの懸念、知的財産権軽視に対する不満などがある。 中国製造業の1人あたり平均賃金は、リーマンショックによる金融危機が直撃した2009年を除くと、ここ数年間2ケタのペースで伸びている。昨年は、それまで伸び率が際立っていた沿岸部に加え、内陸部での伸び幅も目立つようになり、賃金上昇率が20%を超えた地域もあった。 昨年11月に開催された第18回全国人民代表大会(全人代)で胡錦濤前総書記(前国家主席)は、GDPと1人あたりの国民所得を2020年までに2010年比で倍増させる目標を掲げた。これによって、少なくとも2020年までは、人件費が高い上昇率を維持することは間違いない。 こうした急激な人件費高騰が、中国へ進出している企業にとって大きな負担となっている。さらに、中国へ進出した企業の多くは、中国政府の知的財産権に対する意識が不十分だと考えている。「中国は海外企業の技術を奪い、これらの技術を中国国内や海外市場で利用している」と不満を漏らす外資系企業の声も聞かれている。... つづきは本誌2013年5月号でご購読下さい。 |