特集 〜“ムダ取り” “見える化”を進める農業機械業界〜
“収益改善”を目指す 取締役製造部長の小林章氏
多くの工場が抱える最大の問題点は仕掛り――つまり“モノの停滞”である。モノが停滞していると、生産リードタイムは長引く。さらに、停滞しているモノが増えると、保管に大きなスペースを取り、そこから必要なモノを見つけ出す“探すムダ”や、それを次工程に運ぶ“運搬のムダ”が生じる。製造部品質管理課課長代理の石橋善行氏 農業機械(農機)・建設機械(建機)の中堅メーカーである大島農機(株)も、“モノの停滞”によって生産工程に多くのムダが生じていた。そのため2011年から社内に「ムダ取り・見える化推進会」を設置し、生産改革に取り組んでいる。 同社は、籾すり機・穀物乾燥機・自動選別計量機・ さらに、世界的な建機メーカーからの生産受託で、小型油圧ショベル(バックホー)、3〜4トンのバックホー向け部品・モジュールの生産、塗装、組立、試験を行い、直江津港からコンテナを使って完成品を国外へ出荷をしている。 今後、建機メーカーではグローバルな生産体制の見直しが予測される。 そのため同社では、建機の生産性や品質向上と同時に、農業機械部門の収益改善に力を入れていこうとしている。 PEC流の“ムダ取り”で生産改革 パンチ・レーザ複合マシン EML- 3510 NT(供給棚・TK付き)の
農機だけで33アイテム、建機を含めれば40アイテムに近い製品を、市場の要求に応じてタイムリーに生産することは難しい。限られた数の組立ラインでは、どうしても機種ごとにロットをまとめた“ダンゴ生産”になってしまう。月間稼働時間は500 時間 それにより在庫が積み上がる。その一方で、ニ−ズがあるにもかかわらず、生産が間に合わないという理由で販売機会を失う事態も発生していた。 また、同社で製造する農機の多くは秋の収穫期に使われる商品で、季節変動によって月の生産台数が大きく変化し、生産平準化も困難だった。 そこで、生産現場のムダを排除する“ムダ取り”のコンサルタント、PEC産業教育センター(岐阜県岐阜市、所長:山田日登志氏)と、2011年12月から、生産改革に取り組んできた。... つづきは本誌2013年5月号でご購読下さい。 |