板金論壇
レーザ加工技術を“オールジャパン”で開発する体制づくりを望む

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫



53年間で長足の進歩を遂げたレーザ加工技術
これからの板金加工技術のコアになるのがレーザ加工技術であることは間違いがない。1960年、カリフォルニアにあったヒューズ研究所のセオドア・メイマン氏が世界最初のレーザ発生装置(ルビーレーザ)を完成させてから53年、レーザ加工技術は長足の進歩を遂げた。特に、切断用途として登場したCO2レーザが本格的に市場に投入され始めた1985年以降は、欧米や日本をはじめとした先進諸国で産業用レーザ加工機が花開き、これまでに世界で十数万台のレーザ加工機が出荷されているといわれる。そして板金加工用途を中心とした切断用レーザ加工機は、すでに世界中で2万台以上が稼働していると推定されている。
日本では、それまでパンチプレスがブランク加工の中核を占め、1990年代初頭まで出荷台数でトップを走っていたが、2000年代に入るとレーザ加工機の出荷台数がパンチプレスを上回るようになり、CO2レーザ加工機の年間出荷台数が1,000台を超えた。もともと多品種少量生産を特徴としている板金業界では、とりわけレーザ加工機の活用範囲を広げてきた。
パンチング加工で加工できる板厚範囲は上限が6mm程度だった。それに対してレーザ加工機は、黎明期こそ出力500W〜1kWのCO2レーザ発振器が中心だったこともあって、切断できる板厚が9mm程度までだったが、CO2レーザ発振方式に高速軸流型が登場し始めてからは出力が徐々に拡大し、現在では出力4kWが主流になった。
6kW発振器を登載した高出力機では、25〜30mmの厚板の加工に対応できるようになり、レーザ加工機は加工範囲を拡大。導入したユーザーは厚板加工にも対応できるようになったことで、それまでの薄板の精密板金から製缶板金や形鋼の加工などにも対応でき、事業範囲を拡大していった。...

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