特集 〜スマートグリッドに関わる主要機器と板金市場動向〜

「固定価格買取り制度」を利用し、太陽光発電事業に参入

太陽光発電パネル480枚、出力100kW――年間500万円の売電金額が営業外収益に

シオヤユニテック 株式会社



10 年前から参入を検討
代表取締役の塩谷雅彦氏代表取締役の塩谷雅彦氏
「太陽光発電事業に参入する考えは、10年くらい前(2003年頃)からもっていました」と代表取締役の塩谷雅彦氏は語る。
「環境負荷を低減する再生可能エネルギーの導入は、CSR(企業の社会貢献)の面でも大切なことだと感じていました。また、当社の工場建屋には空調がなく、夏場には40度近くまで気温が上昇することもあります。断熱処理を施していない工場の折板屋根に太陽光発電パネルを設置して直射日光を遮れば、作業環境の改善にもつながるとも考えました。しかし調べてみると、当時の買取り価格では採算が取れないことがはっきりしため、導入を断念しました」。
シオヤユニテック(株)は、金属加工機メーカーの材料棚や搬送装置といった周辺装置や、大手重電メーカーのキュービクル・高圧配電盤の筐体といった板金製缶加工を中心に事業を展開している。
最近では、大手電機設備メーカーの大容量(500kW)パワーコンディショナー(以下、パワコン)の試作や、原子力発電所の2次電源用の電源盤、鉱山機械用の大型ダンプトラックに搭載する配電盤といった仕事も手がけるようになっている。

「固定価格買取り制度」を活用し、太陽光発電ビジネスに参入
HD-1703 LNTによる曲げ加工。角度センサーBi-Lの導入で試し曲げ削減につながっているHD-1703 LNTによる曲げ加工。角度センサーBi-Lの導入で試し曲げ削減につながっている
塩谷社長が太陽光発電システムの導入を検討し始めたという2003年当時、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの普及促進策としては、電力会社による自主的な買取り、RPS法※1、各自治体の助成などが用いられていた。しかし、普及目標そのものが低かったり、買取り価格が低すぎて初期投資と折り合わなかったりといった制度上の問題から、なかなか普及が進まずにいた。
政府は再生可能エネルギーの普及促進を強化するため、2009年11月から余剰電力の「固定価格買取り制度」※2を導入した。太陽光発電の場合、買取り価格は1kWhあたり48円(10年間買取り保証)という高額に設定されたが、買取り対象を「余剰電力」に限定していたため、期待していたほどの導入促進効果は得られなかった。...

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