特集 〜スマートグリッドに関わる主要機器と板金市場動向〜

電力の安定供給と省エネに対するニーズが高まる

カスタム盤メーカーからみたスマートグリッド

株式会社 勝亦電機製作所



首都圏を中心に展開するカスタム盤メーカー
代表取締役の勝亦章浩氏代表取締役の勝亦章浩氏
「スマートグリッドはまだまだ実証段階で、言葉がひとり歩きしている印象です」と代表取締役の勝亦章浩氏は率直に語っている。
(株)勝亦電機製作所は、東京・山手線内で工場を操業する唯一のカスタム盤メーカー。本社工場(東京都品川区)のほかに沼津工場(静岡県沼津市)をもち、キュービクルをはじめとする受電盤、高低圧配電盤、各種分電盤、制御盤、監視盤といった盤製品の設計・製造・施工を行う。
板金部材の加工は本社工場の敷地内にあるグループ企業の(株)大崎鈑金工業所が一手に引き受ける。そのほか複数のグループ企業とも連携しながら、山手線内に工場があることを強みとした迅速な改修・メンテナンス対応や、盤製品に組み込まれるシーケンサなどの制御系システムの設計・開発も手がける。
一般的な配電システムの商流と同様、同社の得意先はゼネコンなどから仕事を受注した電気設備工事業者が中心となる。納入先は首都圏の建物案件が大半で、官公庁舎・銀行・病院・データセンター・テナントビル・ホテル・大学・テレビ局・工場などに納入実績をもつ。ただし、首都圏が中心ということもあって、地方の遊休地や工場の屋根に設置されることが多い太陽光発電システム関連の仕事とは距離がある。
太陽光発電ビジネスやスマートグリッド実証実験といった華やかな事業の影で、将来的にスマートグリッドの一部として機能するであろう配電システム上の技術的な傾向や、東日本大震災以降に浮かび上がってきた首都圏における配電網のニーズについて、話を聞いた。

スマートグリッドを視野に高度化する通信・計測・制御の方式
盤筐体の組立工程。形鋼を嵌めあわせたフレーム構造となっている盤筐体の組立工程。形鋼を嵌めあわせたフレーム構造となっている
取締役工場長の西尾政明氏は「当社はこれまでカスタム盤メーカーとして、電力の“計測”や配電システムの“制御”などでノウハウを培ってきました。スマートグリッドの普及・浸透を想定したとき、配電システムの観点からは、通信・計測・制御といったソフトウエアの充実がカギになります。2010年代に入って以来、各種施設やテナントビルといった建物単位で、省エネやエネルギーマネジメントに対する要望は着実に増えています」と語っている。
近年はスマートグリッドを実現するEMS(Energy Management System)の一例としてHEMS※1やBEMS※2、FEMS※3といったシステムが脚光を浴び、実証段階に入っているが、EMSを構成するシステムとして「『電力監視システム』『省エネ管理システム』『ビルディングオートメーションシステム』(BAS)などがすでに実用化され、普及段階に入っています」(西尾工場長)。...

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