特集 〜スマートグリッドに関わる主要機器と板金市場動向〜

日立製作所が実践する「分散型EMS」の実証実験

大みか事業所を仮想コミュニティとみなし、エネルギー利用の最適モデルを検証

株式会社 日立製作所 インフラシステム社



●図表4 夜間に蓄電池に充電し、電力需要のピーク時に太陽光発電と蓄電池からの放電で補うことで、電力会社からの受電電力のピークを引き下げる●図表4 夜間に蓄電池に充電し、電力需要のピーク時に太陽光発電と蓄電池からの放電で補うことで、電力会社からの受電電力のピークを引き下げる
(株)日立製作所 インフラシステム社は2012年7月、BCP(事業継続計画)への対応強化と、エネルギー利用のさらなる効率化を目指し、大みか事業所(茨城県日立市)と日立市内の関連事業所で、「分散型エネルギーマネジメントシステム」(EMS:Energy Management System)の実証実験を開始した。
分散型EMSは、同社が2011年6月から設置を進めていたもので、同社はこの実証実験に対し、総額で約20億円を投資する。
実証実験は、3段階に分けて行われていく。
「フェーズ1」(第1段階)では、太陽光発電システム、蓄電池、分散型の工場エネルギー管理システム(FEMS:Factory Energy Management System)を本格的に稼働し、(1)蓄電池設備の充放電制御による電力ピークシフト、(2)空調設備の直接制御による電力ピークカット――などを実施している。
「スマートグリッド」というキーワードは各種報道でさかんに取り上げられているが、その仕組みや使用される機器の種類については、具体的にイメージするのが難しい。そこで、「スマートシティ実現に向けた」(日立製作所・資料より)具体的な取り組みの好例として、日立製作所・大みか事業所の実証実験の内容を紹介する。

スマートグリッド事業を強化する 日立製作所 インフラシステム社
500kWの鉛蓄電池。新神戸電機(日立グループ)製の
蓄電池ユニットを1系統につき直列で240個連結。
計14系統で3,360個の蓄電池ユニットが使用されている500kWの鉛蓄電池。新神戸電機(日立グループ)製の
蓄電池ユニットを1系統につき直列で240個連結。
計14系統で3,360個の蓄電池ユニットが使用されている
大みか事業所は、日立グループが手がけるインフラシステム分野の基幹事業所。
日立製作所 インフラシステム社は同事業所をマザー工場とし、(1)「エネルギー」(スマートグリッド、発電・発電所監視制御システムなど)、(2)「モビリティ」(鉄道の運行管理システム、EVの管理ソリューションなど)、(3)「産業」(自動車製造工程管理システム、医薬品製造実行システムなど)、(4)「水環境」(上下水道監視制御システムなど)、(5)「情報制御プラットフォーム」(スマートシティ基盤のシステムミドルウエア、UPS(無停電電源装置)など)――といったインフラシステム分野で、システム提案からモノづくりまで手がけている。
同社はスマートグリッドやスマートシティ事業の推進を強化しており、これまでも国内外の様々な実証プロジェクトに参画している。今回の実証実験では、これまでのプロジェクトで獲得したノウハウを採り入れながら、システム開発から運用、サービスまでの一貫したソリューションを提供するためのビジネスモデルを確立させていこうとしている。...

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