〜2013年を展望する〜

II 主要業種別トレンド分析
板金関連9業種のトレンドを探る
海外は欧州債務危機の影響で不透明
国内は震災復興と次世代産業の立ち上がりに期待



世界経済は欧州債務危機の影響で引き続き不透明
日本の実質GDP成長率推移(2012-13年は予測)/国際通貨基金(IMF)2012年10月発表日本の実質GDP成長率推移(2012-13年は予測)/国際通貨基金(IMF)2012年10月発表
2012年は米国・中国・ロシア・フランス・台湾・韓国などの主要国で政権トップが交代する年だった。年初の段階では世界経済の成長が加速するとの楽観的な見方もあったが、ふたを開けてみると、欧州債務危機からの脱却の遅れが新興国にも波及し、世界的に先行き不透明な状況が続いている。
国際通貨基金(IMF)は昨年10月、四半期ごとに見直している世界経済見通しの改定版を発表した。2012年の成長率を3.3%(7月時点では3.5%)、2013年は回復して3.6%(同3.9%)と見込むが、いずれも下方修正。2010年(5.1%)や2011 年(3.8%)と比べ、減速していることが浮き彫りとなった。
減速の最大の要因は、欧州債務危機からの脱却の遅れ。IMFでは、欧州債務危機の影響が先進国のみならず、世界経済の成長の中核を担う新興国にまで波及していると分析。「世界経済が数カ月前よりも先行き不透明な状況に陥っている」とし、先進国・新興国を問わず、ほぼすべての国を対象に下方修正を行った。
日本については、2012年を2.2%(7月時点で2.4%)、2013年は東日本大震災の復興需要が一巡するとして1.2%(同1.5%)と予測している(グラフ)。

中国のインフラ投資増大に期待
欧州は債務危機からの脱却の目処が立たない。ギリシャ問題は改善の兆しがみられたが、その他のPIIGS諸国(ポルトガル・アイルランド・イタリア・ギリシャ・スペイン)が後に控え、IMFやOECDは12月に入ってなお「世界経済の最大のリスク」と口をそろえる。しかも欧州経済の要であるドイツは10月から輸出に続いて消費と雇用も悪化し、陰りが鮮明になっている。2013年にはドイツも景気後退局面に入るという見方も多く、そうなればEU 域内の債務危機は再び深刻化するとみられ、予断を許さない状況が続いている。
オバマ大統領が再選を果たした米国では、2012年夏以来、雇用だけは回復傾向になっているものの、工業生産・個人所得・売上高は減少している。懸念されている「財政の崖」(2012年末のブッシュ減税の期限切れと、2013年1月からの大規模な歳出削減のダブルパンチによる急激な財政引き締め)を回避できたとしても、2013-14年は不況期に入るとの見方が強い。
習近平国家主席体制が誕生した中国は、欧州経済の不振と個人消費の低迷で伸び悩んだが、金融緩和を背景とする地方インフラ投資の増大で回復局面に入っていくとみられる。さらに2013年は習近平政権発足後の初年度となるため、国家プロジェクトとしての大規模インフラ工事が集中的に着工し、世界経済の牽引役となっていく可能性は高い。

6重苦と領有権問題で苦しむ日本消費税の駆け込み需要に期待
2012年後半の日本経済は、6重苦(円高、原発停止による電力不足、貿易自由化の遅れ、高い法人税率、労働規制、環境規制)に加え、中国・韓国との領有権問題が浮上。これらの問題は抜本的な解決をみないまま2013年へと持ち越されていく。
海外市場は不透明感が強いが、国内市場は消費税率引き上げ前の駆け込み需要に加え、「復興需要」と「日本再生戦略」で、ある程度は堅調に推移するとみられる。...

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