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世界的に“希少化”が進む食糧の生産に新たな板金需要が期待される
機械化農業が加速、農業機械の需要が期待されるインド



世界的に“希少化”が進む食糧
インドにおける農業就業人口の推移 JETRO「インドの農業機械業界 市場調査報告書」(2012年3月)インドにおける農業就業人口の推移
JETRO「インドの農業機械業界 市場調査報告書」(2012年3月)
世界では、食糧の“希少化”が進んでいる。
今年は、トウモロコシや大豆といった穀物の世界生産量の30〜40% を生産する米国中西部が干ばつ被害に見舞われ、収穫量の大幅な減少が予想される。米国以外でも、ロシアやウクライナなどの東欧が高温・乾燥の被害に遭い、小麦の収穫量の減少が見込まれる。このことにより、オイルマネーなどの投機マネーが穀物相場に流れ込み、世界の穀物相場が高騰している。
中・長期的にみても、世界的な人口増加に加え、新興国も経済発展により食生活が改善したことで、食糧の需給構造が大きく変化しようとしている。
このように世界的規模で食糧の“希少化”が進む中で、約12億人という世界第2位の人口をもつインドでは、食糧の安定生産と自給体制の構築を目指し、農業の機械化を加速させている。

「緑の革命」で大量増産を実現したインド
インド第2位の農業機械メーカーTAFEの「Massey Ferguson」ブランドのトラクターインド第2位の農業機械メーカーTAFEの「Massey Ferguson」ブランドのトラクター
インドでは、1961年の大規模な食糧危機を経て「緑の革命」※1が始まった。1966年に首相に就任したインディラ=ガンディーが、英国植民地時代に灌漑網が整備されていたパンジャブ州とハリヤナ州に政府資金を集中投入し、「緑の革命」を推進。コメ・小麦の高収量新品種に大量の化学肥料を与え、増産を実現した。
インディラ=ガンディーが政権を掌握していた時期(1966-77、1980-84年)は、大きな天候異変がなかったこともあって、コメ・小麦は増産を続け、インド全土が食糧不足に陥ることはなかった。そして、1990年代には余剰穀物を輸出するまでになった。
しかし今でもインドの農産業は、モンスーン(雨季)に大きく依存した「天水農業」。国内需要が逼迫すると穀物を大量輸入し、コメ・小麦などの輸出禁止措置や関税削減・撤廃を実施するなど、安定的な自給体制は確立できていない。...

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