板金需要が拡大する医療機器業界

工程統合マシンC1導入で従来比3〜4倍に生産性アップ
加工に応じて工夫して使い“生きたマシン”にする

兵庫無線 株式会社



血液分析装置の筐体・カバー・フレームの仕事が約50%を占める
代表取締役の長谷川正行氏(左)と、子息であり営業部長の長谷川正浩氏(右)代表取締役の長谷川正行氏(左)と、子息であり営業部長の長谷川正浩氏(右)
神戸市西部の緑豊かな住宅地が続く道を抜けると、さまざまな企業が入居している工業団地が現れる。その一角に、創業57年を迎える老舗板金加工企業、兵庫無線(株)がある。今年古希を迎えた代表取締役の長谷川正行氏、子息であり営業部長の長谷川正浩氏、工場長の平井誠氏、仕入れ担当の西根徹氏にお会いした。
同社は1955年に長谷川社長の父親が神戸市兵庫区で個人創業、2年後の1957年に兵庫無線(株)を設立した。創業当初から大阪に本社を置く音響機器メーカー、東亞特殊電機(株)(現社名:TOA(株))から拡声放送機器の仕事を受注、手板金加工で拡声装置の筐体などを製作していた。
1961年に東亞特殊電機が医用電子機器業界への進出を決定。1963年に国内初の自動血球計数装置「CC-1001」の実用化に成功すると同時に、アンプ血液測定器などの板金製作にも携わるようになっていく。
1968年には東亞特殊電機が製造する医用電子機器の販売会社として、東亞医用電子(株)が設立され、1972年に東亞特殊電機ME 機器部門を譲受し、臨床検査機器専門メーカーとなった。
兵庫無線は東亞医用電子の主力サプライヤーとして取引を開始。東亞医用電子が1999年にシスメックス(株)と社名を変更した後も取引を継続し、現在では売上の50%を血液分析装置の筐体・カバー・フレームなどが占めている。

55年来のアマダファン、ここにあり
2次元CAD/CAMによる立体姿図と展開図2次元CAD/CAMによる立体姿図と展開図
長谷川社長は創業当時を振り返り「私が学校を出て、父親が創業した会社へ入社したのが1959年。当時は板金加工設備もなく、すべて手板金加工。曲げは『バッタ』を使っていました。タガネやハンマーで叩く音は大きく、時間もかかりましたが、誠心誠意つくることで信用が積み重なって、社業も安定していきました」と話し始める。
それからユニパンを導入して機械板金加工に取り組むようになる。「生産効率の向上と加工品質の安定のために、これからは機械化に取り組まなければいけない」と考えた。...

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