最新設備導入で差別化を図る

“希望と勇気”で厳しい環境を勝ち抜く
新鋭機ACIES導入で生産性を3倍以上改善

株式会社 三光精密



3人で光り輝こう――希望の社名
常務取締役の猪爪健氏(左)、専務取締役の小野克広氏(中央)、常務取締役の荻原正男氏(右)常務取締役の猪爪健氏(左)、専務取締役の小野克広氏(中央)、常務取締役の荻原正男氏(右)
(株)三光精密は、代表取締役の猪爪昭光氏が、以前勤めていた工場の先輩と同僚の2人に呼びかけ、1979年に創業された。現社名「三光精密」は、3人の仲間という意味で「三」、それと猪爪社長の名前から「光」の一字を採って、明るい希望を込めた。それ以来、空調機器・通信機器、OA機器、建設機械などの部材として使われる板金製品の加工に、アセンブリーまで対応することで付加価値を加え、事業を展開している。
1989年、創業当初の大沢工場から現住所(栃木県日光市)に移転した。中・厚板の製缶板金加工から機械加工まで手がける(有)ワーク三光社を設立して、加工領域の拡大も目指してきた。年々業容も拡大し、(株)三光精密として株式改組。高品質な加工品を提供し、また地域の要として、製造上の様々な相談やサポートを行うネットワークを持つ。
同社が立地する日光市は、世界遺産に指定されている日光東照宮や日光国立公園があり、自然豊かな地域。そうした環境もあって、同社は“モノづくり”と“環境”の調和を図るため、2007年にISO14001の認証を取得している。

日本でしか加工できない板金モノづくりを目指す
パンチング加工後、レーザで外周加工しシートから切り離してからTKで機外へ搬出するパンチング加工後、レーザで外周加工しシートから切り離してからTKで機外へ搬出する
取材訪問時、同社の応接室では専務取締役の小野克広氏を中心に、猪爪社長の子息である常務取締役の猪爪健氏、プログラムや3次元化を推進している常務取締役の荻原正男氏に応対していただいた。そして多忙の合間を縫い、猪爪社長にも加わっていただき、話を聞くことができた。
猪爪社長は、これまでの苦難をどのようにして潜り抜けてきたかを、傍にいる若い世代へ向けて力強く語り出した。
「欧州債務危機、中国経済の減速、そして超円高と、業界を取り巻く環境は厳しい。当社の業績もリーマンショック前の2007年当時と比較すると、20%程度減っている。リーマンショック後の対応では、私たち役員報酬の削減をはじめとした固定費削減努力を行った結果、損益分岐点比率を下げ、20%の減収でも利益を維持できる体質をつくることができました。しかし、得意先の中には、国内製造拠点の統廃合や生産の海外移転で、発注される仕事がなくなる事案も出てきています。それだけに、これからは限られた国内の仕事を受注するため、競争環境はますます厳しくなっていくでしょう。そのためには、他社との差別化や最新加工設備の整備をはじめ、日本でしか加工できない板金モノづくりを目指していかなければなりません」。...

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