経済自由化から21年─躍進著しいインド(2)

インドの電力需要を支える自家発電装置を製造
日系コンサルタントの指導を受け生産改革に取り組む

Innova Diesel Generators Pvt. Ltd.



自家発電装置の板金部材を内製化
社長夫人で取締役でもあるRashmi P. Shetty 氏(左)、工場長のRamachandra T.K. 氏(右)社長夫人で取締役でもあるRashmi P. Shetty 氏(左)、工場長のRamachandra T.K. 氏(右)
同社は1995年に、現社長であるPrashanth Shetty氏と、Shetty氏の夫人で共同経営者であるRashmi P. Shettyさんによって設立された。当初はバンガロール市街地で操業していたが、工場が手狭になってきたことから、2009年にバンガロール市街地から車で1時間以上離れた郊外の農村地帯に建っていた工場を丸ごと購入し、移転した。
創業以来、Mahindra&Mahindraやキャタピラーからディーゼルエンジンを購入して、ベースプレートから各種カバーを内製で加工、塗装、組立までを一貫して行ってきた。完成した自家発電装置は、Mahindra&Mahindraの代理店などを通じて国内市場に供給されるほか、生産台数の25%は中東やオーストラリア、欧州へと輸出している。国際的な品質管理基準であるISO9001も取得している。

大停電で明らかになった電力需給の課題
ほぼ組立が完了した自家発電機。ISO9001も取得済で、欧州や中東へも輸出しているほぼ組立が完了した自家発電機。ISO9001も取得済で、欧州や中東へも輸出している
7月30〜31日にインドで発生した大停電により、インド北部から東部にかけての広い地域で送電が止まり、全人口のほぼ半分にあたる6億人が影響を受けた。8月1日に電力供給は再開されたが、国土の北半分で2日間にわたって送電が止まり、企業は自家発電装置による操業を余儀なくされた。停電の原因は明らかにされていないが、根本的には慢性的な電力供給不足が起因している。
インドでは、経済成長で購買力のある中間層が増えたこともあり、2011年度の周囲に緑が溢れるInnova Diesel Generators Pvt. Ltd.の工場社長夫人で取締役でもあるRashmi P. Shetty氏(左)、工場長のRamachandra T.K.氏(右)パンチングマシンAC-2510NTによるブランク加工。材料の搬入や製品の取り出しなど、各加工は、それぞれ専任のスタッフによって行われるピーク時の電力供給は、需要を約11%も下回った。
今後は、少なくとも年率5%のペースで電力需要が膨らんでいく見込みだが、インフラ整備が追いついていない状況だ。
インド政府は今年から始まった「第12次5カ年計画」で、電気・ガスなどのエネルギー供給体制の整備に5年間で3,300億ドル(約26兆円、1ドル78円換算)を投資する計画を発表している。しかし、インドで操業する企業にとっては、停電への備えである自家発電設備などの確保は欠かせない。...

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