経済自由化から21年─躍進著しいインド(2)

アジアの鉄道需要を見越して車両機器を製造
日本のモノづくりに学んだ生産改革

Faiveley Transport Rail Technologies India Ltd.



1919年創業―― 世界的な鉄道車両機器メーカー
常務取締役のSeshadri Srinivasan 氏常務取締役のSeshadri Srinivasan 氏
世界的な鉄道車両関連機器メーカーFaiveley Transportは1919年、フランスの都市サン=ドニで、鉄道車両のブレーキを製造する企業として創業した。1923年にパンタグラフ、1933年に鉄道車両用自動ドア、1952年に鉄道車両用の車冷装置などを次々と発表。アルストム、シーメンス、ボンバルディアといった鉄道車両業界の「ビッグ3」に鉄道車両向けの各種機器、装置を納入してきた。
1989年にはスクリーン式のホームドア(安全柵)を開発。2007年には、アルストムがフランス国鉄にTGV(高速列車)を納入。Faiveley Transportはその際、現在の最速レコードである時速574.8qを達成したTGV向けの車両ブレーキシステムを開発している。
2010年度のグループ売上高は9億1,400万ユーロ(914億円、1ユーロ100円換算)で、従業員数は全世界で5,000名にもなる。世界24カ国に47カ所の拠点を持っており、フランス、イタリア、ドイツ、イギリス、スペイン、チェコ共和国、スウェーデン、米国、オーストラリア、ブラジル、中国、韓国、インドに工場を持っている。

重きを増すアジア・ビジネスを支える製造拠点
鉄道車両の屋根に取り付ける空調機器の組立作業鉄道車両の屋根に取り付ける空調機器の組立作業
Faiveley Transport Rail Technologies Indiaは2007年に創業され、現在はインド南部のタミルナードゥ州・Hosur(ホスール)と、北部のヒマーチャル・プラデーシュ州・Solan(ソラン)の2カ所に工場を持っている。
今回訪問したHosur工場では、ディスクブレーキシステム、ディスクブレーキパッド、ブレーキシュー、ブレーキディスクと後部のブレーキドラム、車冷装置、連結器などを製造している。従業員総数は2工場合わせて約300名で2010年の売上は40億ルピー(56.8億円、1ルピー1.42円換算)となっている。
もともとFaiveley Transportグループは、世界第1位の人口をほこる中国や、第2位のインドでは今後、高速鉄道・地下鉄の建設が急速に進むことが期待されるとして、アジア地域での製造・販売を強化している。すでにアジア地域には18カ所の拠点と8カ所の製造工場を持っており、同地域での従業員総数は1,400名で、グループ全体の1/3を占めるまでに拡大している。
中国では、湖南省・株洲市、山西省・大同市、遼寧省・大連市の3カ所に工場を持っている。最近では、上海メトロで運行される地下鉄車両のブレーキシステムを一括受注するなど、中国ビジネスを拡大している。...

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