経済自由化から21年─躍進著しいインド

建機向けキャビン生産が主力
板金市場のポテンシャルは高いと判断、設備投資も積極的

Mag Engineering Pvt. Ltd.



機械金属加工業者が集積するPeenya地区に立地
Rumi Gyara 社長(右)と共同経営者のDeenaz Damania 博士(左)Rumi Gyara 社長(右)と共同経営者のDeenaz Damania 博士(左)
同社の本社工場があるバンガロールのPeenya地区は、インドでよく知られる工業地域。東南アジアで最も古く、最も大きい工業地域のひとつである。
この工業地域で事業を行う企業の中には、インド最大のIT企業であるウィプロ・テクノロジーズや、スイスに本社を置く重電メーカーABBといった大企業の工場もあるが、大半は4,000〜5,000社ともいわれる中小の機械金属加工業者。インドのIT都市であるバンガロールの中心部にも近く、工業地域のそばには、デカン高原にあるインド8番目の大都市プネとバンガロールを結ぶ国道4号線が走り、交通の要衝ともなっている。
この地域に3工場を持つ同社の本社・工場正面の門を入ると、すぐ左側には事務所棟が芝生で覆われた庭に囲まれている。事務所入口の左側には創業当時に使われていたシャーリングマシンが「創業当時の設備」と銘板をつけられ、モニュメントとして展示されている。
事務所ドアを開けて入ると、右側の受付に女性スタッフが配されており、その後ろの壁には「WORKisWORSHIP(仕事とは崇拝である)」というパネルが掲げられている。仕事を尊敬し、自分たちの仕事に誇りを抱く同社の姿勢を感じさせてくれる。

板金加工設備はすべて日本製
レーザマシンLC-3015F1NT(4kW)がシャトルテーブル付きで稼働しているレーザマシンLC-3015F1NT(4kW)がシャトルテーブル付きで稼働している
現在、同社の得意先にはインドを代表する主要な建機メーカーのほとんどが名を連ね、L&TKOMATSU、Tata-Hitachi、Caterpillar、Volvoなどの油圧ショベルに使われる運転席のキャビンが、メーカーごとの組立ラインに並ぶ。
工場内の板金加工設備の大半は10年前から導入し続けているアマダ製で、ブランク加工用の設備だけでもパンチ・レーザ複合マシン、レーザマシン、パンチングマシン――計7台の加工マシンが稼働している。
建機のキャビンやカバー類の板厚は2.3oや3.2oが多く、16oや19oといった厚板の加工も中には含まれ、毎月生産するアイテム数は6万点を超えている。受注するキャビンの多くがリピート品であり、毎月流れる仕事も90%がリピート加工となっている。
得意先から受け取るキャビンの設計データは、メーカーによっても異なるが、3次元CADCATIAで設計された3次元データで発注されるケースが多い。そのため同社では、3次元CADデータの受けCAD用として3次元ソリッド板金CADSheetWorksを活用している。
初回は受け取ったデータどおりにバラシ、加工・組立を行っていくが、2ロット目以降のリピート加工では、加工性や組立性も検証して、図面変更をした方が良い場合には積極的なVA/VE提案を行うよう心がけている。そのため、SheetWorksは受けCADとしてのみ使用するのではなく、自社で加工・組立しやすい形状に図面を変更して提案を行うツールとしても活用している。SheetWorksでバラシ・展開が終了した展開データは、DXFデータで書き出して2次元CAD/CAMAP100に転送され、NCデータが作成される。...

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