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自動化を活かしたモノづくり体質
EMLとASTROの自動化ラインで他社との差別化を狙う

株式会社ヤマイチ



得意先の分散化で不況に備える
代表取締役の渡辺雅一氏代表取締役の渡辺雅一氏
(株)ヤマイチへの取材は約4年振りとなる。
リーマンショックや3.11東日本大震災の影響について代表取締役の渡辺雅一氏は「リーマンショック直後は工作機械関連の仕事が大幅に減りましたが、空調機器やその他の業種の仕事が伸びたため、売上の減少幅は20〜30%程度ですみました」と、1社への依存度が80%を超していた頃を引き合いに出しながら、得意先の新規開拓でリスクの分散化を図り、不況を克服してきた経緯を語る。
同社の売上比率は、空調機器関連が30〜40%、工作機械カバー関連が30〜40%、食品機械関連が10%、その他が10%となっている。2010年頃から工作機械カバー関連の仕事がけん引するかたちで受注が回復。現在は、同社の強みである自動化・省力化設備を駆使してQ,C,Dを追求することで、他社との差別化を図り、ロット製品を中心に受注している。
「空調機器関連の仕事は、工場やビルといった業務用のダクトの製作を主に手がけています。得意先からは一部、バラシから任せてもらっており、当社から工法提案を行うこともあります。また、当社で製作しているダクトや防雪フードなどは、空調機器のオプションパーツになるので、東日本大震災後の復興需要で工場やビルなどが整備されるのにあわせて、需要が増えると考えられます。ダクト関連の仕事は、景気変動の影響を受けにくい比較的安定した仕事です。個々のパーツは800o角程度の大きさですが、組立まで行うと搬送の際にカサばるので、切断・曲げ・梱包まで対応してお客さまに納め、現地で組み立ててもらいます。工作機械カバーの仕事は2次外注としての受注ですが、R曲げや溶接、組立と多岐にわたって技術力やノウハウが求められます」(渡辺社長)。

EML+MARSとASTROの自動化ラインを会社の強みに
得意先から受け取り、SheetWorksで開いた3次元モデル得意先から受け取り、SheetWorksで開いた3次元モデル
同社の生産体制は、WILL受注・出荷モジュール+Mを活用したEDIによる電子受注にはじまり、パンチ・レーザ複合マシンEML-3510NT+RMP-48M+TK+MARS(8列10段)とレーザマシンLC-3015F1NT(以下、F1)をメインとしたブランク加工、ベンディングロボットシステムASTRO-100NT(以下、ASTRO)やベンディングマシンHDSシリーズによる曲げ加工、溶接、組立、出荷と、様々な案件に対応できる一貫生産ラインとなっている。中でも、EMLでブランク加工した後にASTROで曲げ加工を行うセット運用は、同社の特長だ。
ステンレス製品が多いため、プログラム工程では、ネスティングソフトWinNESTを使った都度ネスティングを行い、最適寸法や材料購買を徹底するなど、歩留り改善に対する意識も高い。また、3次元ソリッド板金CADSheetWorksを受けCADとして活用するなど、3次元CADに対する取り組みも積極的だ。...

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